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終章



執事の松岡は私と麗華のパジャマを用意し,ベッドの上に置いてくれた。今宵は我家に招いた。

― 天蓋(てんがい)のベッドなんですね。

― お姫様気分に浸れる(ひたれる)わよ。

― そのとおりですわ。

私達二人は,バスローブを羽織っていた。ベッドに腰を下ろした。麗華肩に手をかけ,私の胸に顔を抱き寄せた。

暫く麗華は私に甘えていた。

― やっぱりフォールかサブミッションで決着したかったわ。

私がそう言うと,彼女は顔を起こし,私の手を握り締めた。そしてて私を見つめた。

― 実は,プロレスの試合はこれが最後です。

― ええ!

私は驚きを隠せなかった。

― とある格闘家の元で修行しようかと思っております。でもそのためには興行としての格闘は行えなくなります。修練の為に行うものですから。

― そのとある格闘家とは清子女史のこと?

― 左様です。知っておりました,悠子様が女史の元に訪れていた事は。私には格闘技しかありません。それを極めたくそう致す事にしました。でも修行を終えた暁には今度は悠子様とは,興行としてではなくプライベートで闘いと思っております。是非お手合わせ願います。

― 勿論よ。

私のその答えを聞いて彼女は微笑んだ。私は再び抱き寄せ,唇を重ねた。そして彼女の肩からローブを剥し,上半身を露にし,ベッドに倒した。

― 前みたい攻めないでね。あっさりやられちゃうから。

― ええ,今宵は悠子様に全てを委ねます。存分に願います。

私は持てる(すべ)を出した。でも麗華は喘ぎ声(あえぎこえ)を封印した。とても意地らしかった。

― 私を泣かせてみせて。

 麗華からの挑発,でも悔しい。故に私はますます燃えた。

 彼女は恭悦に浸り涙を浮かべた。不思議だった。麗華を許す気になれなかった。一期一会のおもてなし故に。


            ― 完 ―