タクシーに手をあげて乗り込む。

「 高台寺 へ、行きたいんですが」


運転手

「 高台寺 ね !?


レイナ

「 そうです !!



あ…ぶなかっ…たァ…

自分で言おうとしなくて良かった…

一回じゃ言えないもん。って、いうほど異なるイントネーション。


正直のところ初めて聞いた。

こっ、…こ…こ…こう……


私は漢字で読んでそのまま言っている。

まさかこう変化するとは 笑 笑い泣き 叫び


今日いちばんドキドキした。

しばらく言えないというよりは、おそらく口も耳も違い、ネイティブ喋りは正確には無理だと思う。

呼吸が違う気がする


そして取材先の高台寺で、ひたすら写真を撮る撮る。







何枚でも“見ていたい角度”があるような気がして、つい撮りますが、対象をよくよく見ることも大事ですね。
写真があればなぁ…と思うこともよくあるのに。



途中から写真手前3人の、フランス人夫婦と、5歳位の男の子のドミニクと、後先になったりして恰も一緒に歩きました。夫婦がとても子供を大事にしているのだけど、ドミニクが両親によく付き合って、偉かった。6歳にはなっているのかしら。シャレてますね 6歳で高台寺を歩く。


除けたのに、写っていた
写真手前がその3人親子







時々、レースが付いていたりする着物姿の人や、羽織を着た和装カップルが通るので、一風変わった人なのだと思って道を譲っていました。
それが、どうもレンタルする外国人だと気づきました。近くに衣装店もあるようです。
着たいかしらねぇ、レース付きの着物。
なんでも体験ですね。
少し前までは、どれほどの高級品でも外人が着物の着方を知るわけなかったので。
ここまで日本に興味を持つ日が来るものですよ、ねぇ。

高台寺には、枝垂れ桜が一本あるのがどうやら有名ですが、私はひょいと見ただけでしたけど、咲いていない時のほうが、風情がありました。

高台寺を出てからしばらく下り坂になる前に、お茶屋さんがあり、休憩したかった私が思ったのは、あ〜あ、ここにおうどんもあればいいのになあ!
本場のうどん店を探して入るも大変そうで。…
そうしたらなんと、ありました。
皮入のゆず茶と、おぼろ昆布入うどんを頼みました。
よかった、これで夕食になるし!
関西系のおうどんなんて食べたことないし! おうどんがある、
「わあ、嬉しい」と呟いてしまいました。
何種類かあったのですが、
「じゃあ、お昆布で」と頼むと、
「おぼろ昆布(こんぶ)で」と
言い直されましてん。
こんぶ、とかなすび、かぶら、とか言う違いは沢山あるらしい。
「はいっ!(それです)」
と即座に言いましょう。力の限り言いましょうね。


すごいですねぇー、
門前でおうどんですねー
関東なら門前蕎麦かしらねー
もうどうでもよくなっている

おうどんはさすがに、最後まで麺の中心がちゃきちゃきしていたから、のびた冷凍とは違うのでしょう。
じっと見ちゃったのはこれ


これは、…?
東京なら
「さっさと直せ」
という感覚ですね。京都の弁説ならば
もし人が後ろに転んだらどうなるのでしょうね。(訴訟になります)
簡潔な言い分のパンチの強さ、この貼紙自体がなぜか面白いです。



ちょっとにっこりしていたらもう 3時半過ぎ。
足だけでなく全身が限界です。
わらび餅は持ち帰れるようにしてもらいました。
思いがけず
「素敵なストールですね」

と言われまして
「寒くて今日、急遽買ったんです…」

でもレイナ着こなしてるから
似合ってる?
あらそうざます?
「寒いですねここは山ですからね…」
はあ。
高台寺は山がちです。昔の人はつくづく健脚で、そして寒かったろうと思いました。

山を降りて歩いて行くと、外人向けなのか、PIZZA…etc…のレストラン風休憩所がありました。

タクシーに乗ると、清水寺の方向は歩く人で混んでいる。聞いていた通りだ。
「ここ、清水寺から道通じてるんですわ。もう道が人でいっぱいでね」
「ああ外国客でね!」
「しかもその途中にホテル建ててますんで、地元の車はもうダメですわ」
「まあ!」
と調子を合わせたはずのレイナ、どうもタクシーの話にもあぶれたみたいです。
昔ねえ、伯母と一緒のときは、まるで先生のように詳しく京都の説明を話す運転手がいましたよ。
まだのんびりしていたのでしょう。

高台寺を下山するあたりから、ややはっきりしてきましたが、ここにも伯母と共に訪れていることを思い出していました。
三泊四日だったのに、京都の地理が頭に入っている伯母は、どれほど沢山の寺社を見せてくれたことでしょう。伯母はとても頭の良い人で超人でした。つくづくそれがわかりました。私を連れている責任感もあったのでしょう。

ひとりで見知らぬ所へ来たという感覚のない、緊急ミッションでした。
私は漠然とした大きな力に動かされなかったなら、動けなかった。
あとは帰り着かなければ。