そういう人たちに紹介を受け、マケイラはイーサンと出会った。
今から約７年前、同じくイーサンも丁度自分の立場を模索しはじめていて、マケイラと同じように、スピリチュアリティーを求めるサークルに多く顔を出していたからだった。
その頃のイーサンは、世間一般的に言う成功者という立場を捨てて、そこからは真逆の、自分の中にある真実の声のみを信じ、これからの自分は人々を助ける為に生きて行きたいと、生活環境全てを変えようとしている状況にあった。
彼は自分でも会社経営をしていたし、他の企業からの依頼の仕事も多数あり、毎月多くのお金を稼いでいたが、そこからイキナリ収入ゼロの生活へと自らを投じて行った。
これをトランスフォーメーションと呼んでいるが、その生活は数年に及んだ。はじめは蓄えを切り崩し、不必要な物や贅沢品は全て手放した。時にガスや電気も止まった。が、イーサンは自分の中の声を頑なに信じた。
生活面を心配したマケイラやスピリチュアルサークルの人たちは、時々イーサンの玄関先にスーパーで買い物した食料品を袋ごと置いていってくれた。
イーサンは元々の職業で身に付けたハイレベルのコンピュータースキルを活かし、グローバルに自分の信じる事柄が広がっていくように、この時期、基本的なものを作り上げる作業を続けながら、心身共にエネルギーの波動をあげる試みにも取り組んでいた。
マケイラはイーサンに個人的なチャネリングを何度も行い、彼を指導するエネルギー体からのメッセージをつたえた。
その中で、いつもチャネリングに現れるエネルギー体がいた。その人の名はMary Magdalene （日本語訳でメアリーマグダレン もしくは、マリヤ マグダレナ）という人物のエネルギー体で、歴史によると 彼女は、イエスキリストに深く関わった人物。Maryからの助言やメッセージによって、イーサンが決意した人生の方向性は間違いのない事が分かった。
マケイラのチャネリングによると、イーサンは過去生で Mary の息子として生まれた事があった。その当時も、不思議な神秘的な力を持ち、人々にヒーリングを与えていたという。そして今世でも以前と同じように、人々をヒーリングの力で助ける事を人生のテーマとして生まれて来る事を望んだ。
このイーサンの持つ特別なヒーリングの力は、カルマテイックエナジーヒーリングと呼ばれるもので、人は誰しも前世からのカルマを持って今世に生まれ変わって来るのだが、人によっては、もう必要のないカルマでさえも自分でガチガチにホールドしてなかなか手放せずに苦労している人が多いという。そのカルマは、多くが体調不良を起こしたり、精神的に弱くなるという副作用的な支障を与える。その不必要なエネルギーを取り除く事が出来るのがイーサンだと言う。では、全ての人間が、全員カルマフリーだったら、みんな楽に生きて行く事が出来るのに…と思うが、もし全てのカルマを根こそぎ取り除いてしまうと、大変危険だとも言う。それはなぜかと言うと、前世の課題のカルマというものを、今世にわざと自分に与えて生まれて来たもので、それぞれの人間の波動のレベルにあったカルマから来る課題は必要であり、カルマ全てを一瞬で取り除いてしまうと、人生の目標や生きている意味を 人間は失ってしまうのだと言う。
だから、カルマテイックエナジーヒーリングをする場合はその人に合わせたレベルで、少しづつ行うようにしている。カルマは必ずしも悪く・ネガティブなものだけではなく、今世の自分に ”ある特別な体験・経験を積ませる” 際に、どうしても必要不可欠な要素を含んでいる。
実際に過去に１人だけ、ある女性にとても強いヒーリングを行なった事があった。この女性自身も、ヒーラーとして生活している人で、その人からの希望で、自分のエナジーヒーリングを一度で終わらせて欲しいとの依頼が来たらしい。
一度で行うのは強すぎると、イーサンは何度も断ったが、自分もヒーラーだし、イーサンの行うヒーリングプロセスも理解できるし自分はそれに耐えうる程の精神力とヒーリングに対しての理解も深いので、どうかお願いしますと頼み込まれ、仕方なくイーサンはその女性にヒーリングを行った。
普段、イーサンがヒーリングを行う時は、絶対に相手の目を見ずに行う。(自分でも相手の目を見て行うヒーリングが強すぎると分かっているから)
だがこの時は、真っ直ぐに女性の目を見てヒーリングを行った。
イーサンの目の中を覗いた瞬間、
「ギャー！！」
女性は大きな悲鳴を上げて後ろにのけぞった…
後日談で、イーサンは、この女性に対して もちろん全てのカルマを取り除くことはしていないと言っていた。
目を覗き込むヒーリングの凄さのほんの一部を、わざと体験させてあげたという…
続く