数日前、団体で大逆転優勝を勝ち取った日本だが、
個人総合でも岡選手が優勝を飾った。
東京五輪で優勝した橋本選手はあん馬で落下、一時は18位と
順位を落としたが、その後追従するも6位に留まり、連覇は
ならなかった。
橋本選手は、試合後に涙ながらにインタビューにこう答えた。
「団体で金メダルを獲得でき、個人総合の場で戦えたのは
悔しさよりも幸せを感じた。
怪我もあり、はっきり言ってこの3年間はきつかった。」
王者ならぬやや弱音を吐いた感じだが、現在の橋本選手の
正直な気持ちが伝わり、とても印象的だった。
東京五輪に優勝し、偉大な内村選手から日本のエースを
まだ10代で継承した。
その後日本のエースとしてチームを牽引する存在として
常に期待された。
アスリートは常に100%の調子を保てるわけではない。
五輪王者だけれども橋本選手だって人間。
強靭なメンタルが必要な競技の中、王者なりにかなり
強がってきたに違いない。
この大会、個人総合を終え、日本から新たなチャンピオンが
生まれたことで、橋本選手のずっと気を張っていた気持ちの
糸がほぐれ、ようやくほっとした感じだった。
それゆえに涙がこぼれたのかもしれない。
それにしても、若い岡選手の優勝は大きい。
二人のチャンピオンがいることであらゆる面で負担を
分担できるとともに、ライバル関係が生まれ、お互いの
刺激となる。
若くしてミスの少ない安定感のあるオールラウンダーの存在は
再び橋本選手を奮い立たせる存在でもあると言える。