グランプリシリーズ6大会を終えて、

グランプリファイナルの出場権を獲得したのは以下の6選手。


安藤美姫(日本)

アリッサシズニー(アメリカ)

カロリーナコストナー(イタリア)

村上佳菜子(日本)

鈴木明子(日本)

レチェルフラット(アメリカ)


この年の女子は男子と同様、6人中半分が日本人選手で

その中に、村上選手が含まれていることは期待以上の

大健闘だったと言えます。

逆にこの中に浅田真央選手の名前が無いことは残念です。

しかしながら、彼女にとっては、これまでほとんどの

ビッグタイトルを手にしていて、すでにバンクーバー

オリンピックでも銀メダルを獲得しているので、

グランプリファイナルに出場できなくても他に目標がある

はずです。

彼女にとって、あえて唯一獲っていたいタイトルと言えば、

オリンピックの金メダルなのです。

つまり、彼女の最終目的はこれに尽きるわけなので、

今年はそのための過程の年であるならば、やむを得ないこと

かもしれません。

オリンピックの金メダルのために何が必要なのか、

彼女自身も理解していて、そのために今シーズンを

費やしている。

つまり、ジャンプの修正。特にルッツジャンプの正確なエッジ

踏切りの修正が大きなところです。そのために、この時期に

コーチを佐藤コーチに変更したことは賢明な選択であると

言えます。しかしながら、ほかのジャンプを含め、

国際試合でこうもジャンプの失敗が続くと、ジャッジに与える

印象の悪化が心配されます。またPCSの低下につながる

恐れがあり、これまで積み上げてきたものが

失われてしまわないか心配されます。


さらに浅田選手の精神状態のコントロール、つまり自信喪失に

なってしまわないかが心配されます。


思い切って(理由は異なるかもしれませんが)キムヨナ選手や

ジョアニーロシェット選手のように、今シーズンは、

グランプリシリーズに出場しないほうがよかったかも

しれません。


でも、こいった状況を乗り越えてこそ、さらにステップアップ

できる可能性もあるわけだし、浅田選手が人並みならぬ

素晴らしい選手であることは間違いないのだから、今後

現在苦しんだ時期が糧になること信じて次に進んで

もらいたいと望んでいます。


安藤選手は、今シーズン唯一2戦2勝と、100%の出来

ではないにしても、ある程度以上の実力が発揮できる

安定感が備わり、技術的にも精神的にも、中堅からベテランの

選手へと成長したように思います。怪我さえなければ、

今シーズン世界選手権で再度優勝できる絶好のチャンス

かもしれません。

ただし、キムヨナ選手が出場すると話しは違ってきますが...


シズニー選手は、層の厚いアメリカ選手の中で、抜群の美しい

演技を魅せる選手なので、ジャンプの安定感が増すと

良い成績が出せると思います。


コストナー選手は、どうしてもジャンプの好不調に波が

あるため、試合ごとに成績が極端でなかなか読めません。

個人的にはあまり好きな選手ではないのですが、強敵である

ことは間違いありません。


村上選手は、今年ジュニアからシニアにデビューして、

いきなり好成績を残したわけですが、まだこれからの選手。

もっと伸びていくことでしょう。何より笑顔が魅力的です。

どこか今までの日本人選手にない魅力があって、演技の

評価も高く、総合的に整った選手です。


鈴木選手は、2年ほど前からメキメキと実力を発揮して、

今や世界的に彼女の名前も広まってきました。ずば抜けた

ものはありませんが、ジャンプ、ステップ、スパイラル、スピン

全て高度な技をこなし、総合的にまとまった減点するところが

少ない賢明な演技をしていると感じます。


フラット選手は、若くしてまとまった選手だとは思いますが、

あまり特徴がなく面白みを感じません。シズニー選手や

長洲選手のほうが美しいと感じてしまいます。

アメリカ人選手は、このほかにもワグナー選手やザン選手

など多数いい選手が揃っているので、全米選手権で

勝ち抜くのは、全日本選手権と同様、至難の業と思います。

(ザン選手はちょっとオーバーウェイト気味だと思いますが...)


その他、今後ジュニアにずば抜けていい選手が揃っている

ロシアには目が離せません。おそらくソチオリンピックには、

これらジュニア選手が成長し、出場してくると思います。


このほか日本人選手の中では、今シーズンシニアデビュー

した今井選手。村上選手が好成績だったため、やや影を

潜めていますが、彼女も大健闘だったと思います。

長久保コーチに付いてから、特にジャンプの質が

良くなってきたように思います。

村主選手も頑張っていますが、ソルトレイクシティやトリノの

演技を見た者にとっては現在の彼女の演技は、やはり

物足りなく感じてしまいます。


日本人選手はどの選手もタイプが似通っていない、独特の

個性があってとてもいいと思います。

今後、全日本選手権が楽しみなところです。