グランプリシリーズ6大会を終えて、グランプリファイナルの

出場権を獲得したのは以下の6選手。


小塚崇彦(日本)

高橋大輔(日本)

パトリックチャン(カナダ)

トマシュベルナー(チェコ)

織田信成(日本)

フローランアモーディオ(フランス)


今年の男子は6選手中半分が日本人選手で、また6大会中

4大会で日本人選手が優勝していることに注目です。

バンクーバーオリンピック後、引退した選手や調整のため

今シーズンはグランプリシリーズに出場しない選手など

様々な事情はありますが、日本人選手はそんなことも

言っていられないのが現状です。

次から次へと若手選手が成長し始め、ジュニアの大会から

シニアの大会にデビューしてきています。

羽生選手、村上選手、町田選手、無良選手など多くの

よい選手が続いています。


結局、バンクーバーオリンピックに出場した3選手がグランプリ

ファイナルに進出したわけですが、中でも小塚選手の成長は

目を見張るものがあります。

特にフランス大会のフリースケーティングでは、得点が物語る

ように、今シーズン最高の出来だったと思います。

ジャンプはそれほどダイナミックな感じを受けませんが、

ジャンプ、ステップ、スピンどれをとっても安定感がありますし、

もともと定評のあるスケーティングの質のよさを含め、ジャッジの

評価が高いところが、今シーズン2大会で優勝した要因ではないか

と思います。現在のところ、正統派スケーターの代表とも言える

演技は十分素晴らしいのですが、今後、ランビエール選手や

高橋選手のように、観客を虜にするような演技ができれば、

華のある魅力的なスケーターになっていく気がします。


ジャッジの高評価と言えば、高橋選手もその一人で、今シーズン

それほどよい出来ではなかったものの、世界選手権覇者という

ネームバリューもありますし、何より観客を引き付ける演技力は

どの選手より卓越しています。その色気のある演技は、今シーズン

だけのものではなく、過去の冒険的なコリオグラフィーであったり

選曲の積み重ねの賜物ではないかと思います。


もう一人、ジャッジ受けのよい選手と言えば、パトリックチャン選手。

彼も今シーズンいまひとつジャンプの調子が不安定でしたが、

高橋選手とは違う、美しいスケートを魅せる選手で、ステップ、スピンも

非常に質が高く、こういった点がジャッジから好まれるところだと

思います。


織田選手は、いつも優勝できるはずのところで優勝を逃してしまう

おっちょこちょいなところがありますが、小塚選手や高橋選手よりも

才能自体はある選手ですし、特にジャンプのランディングの美しさは

魅力的です。


トマシュベルナー選手は、ジャンプのダイナミックさでは素晴らしい

のですが、時に安定感に欠け、勝負への執着心がやや足りないと

感じます。また、選曲や衣装の洗練さが必要であると分析します。

ただし、ジャンプの技術は群をぬいていますので、ジャンプが決まった

時は高得点を得る選手だと思います。


フローランアモーディオ選手はフランスの若手。フランスの一人者

ジュベール選手が不調とあって、フランス期待の選手ですが、

ジャンプはもちろん演技力など全ての要素でよいものを持っています。

今シーズンのグランプリファイナルの進出は、彼の名前を売る最も

よい機会で、今後注目される選手でしょう。

また、モロゾフコーチが指導しているところが注目です。


グランプリファイナルでは、どの選手も優勝を狙えるほど僅差で

圧倒的に強い選手がいない分、ミスの少ない選手が優勝に最も

近いのではないかと思います。


その後の大会としては、やはり全日本選手権が楽しみな大会です。

日本勢は層が厚いだけに、どの選手が世界選手権の切符を獲得する

かが注目されます。そして世界選手権は日本での開催ですので

メダル争いに期待がかかります。このままの調子ですと、日本人選手の

優勝の可能性は高いと思います。