農地転用・口頭確認は違法行為の隠蔽?!被害者が正す 下関市(その3) | ニッコリ会・下関

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住民のための行政を 下関市も加担した違法行為 被害者が正す (その3)

農地転用・口頭確認は違法行為の隠蔽?!

 

 平成44年に建てられた山口合同ガス㈱下関北営業所(北供給所)並びに西日本液化ガス㈱下関支店北供給所の敷地約3千坪の約8割(六筆)は平成26年1月まで土地登記簿上、農地でしたが、この平成26年1月16日、21日に突如として六筆全てが「昭和年月日不詳変更」宅地と地目変更されました。

(その2-⑥参照)

https://ameblo.jp/yksalan/entry-12587153976.html

 

建築物を建てるには農地は宅地にするために農業委員会に農地から宅地への転用許可(または届出)を得なければならず、その許可を得た上で建築工事にかかります。そしてその変更した地目については農業委員会の許可が出て1か月以内に農業委員会の現況証明書を添付して法務局に登記申請することとになっております(不動産登記法37条)。

 

もしも農地に建築物を建てれば、農地の違反転用として個人では300万円以下の罰金、法人ならば3年以下の懲役刑、1億円以下の罰金に科せられます。ところがこの両ガス会社の建物(平成19年12月で解体終了)の敷地の約80%が農地のままであり、その後に㈱ハローディ綾羅木店開発・新築工事(平成20年4月9日~平成21年平成21年2月10日、以後事業継続中)もまた農地のままだったのです。(これも農地法違反です

 

それが平成26年1月に急に六筆すべて「昭和年月日不詳変更」で7,001.12㎡が宅地へと変えられてしまったのです。

 

このように「登記簿上の地目が農地である土地が農地以外の地目への地目変更の登記申請」についてはいろいろとこれまでも問題が起きていたために次のような政府からの通知が発令されています。

 

土地登記簿上の農地を農地以外に地目変更するには登記官による認定は厳正にして、農地法の潜脱[i]に加担したと誤解を受けないようにと、その取り扱い方について法務省民事局長通知[ii]や農水省構造改善局長通知[iii]が行われています。(ともに昭和56年5月8日)

 

しかし、法務局下関支局の登記官は市農業委員会並びに土地所有者とのやりとりを口頭で済ませ市農業委員会はこの登記官ならびに土地所有者とのやりとりの記録となる公文書がないといいます。つまり厳正な書面のやりとりを残さずに口頭で、まさに農地法の潜脱に加担したとの疑惑を抱くに十分な対応を行っていたのです。

 

もしも市民が農地を宅地に転用せずに建築物を建て(無断転用)、長年にわたりそこで営業行為を続けたとしたら到底ただでは済むはずがありません。

 

しかし、山口県内の都市ガス供給を独占する山口合同ガス㈱と西日本液化ガス㈱の下関北営業所と下関支店北供給所が建っていた敷地の約80%の農地が一夜にして全部宅地に地目変更される一方で、登記官と農業委員会が公正に地目変更の処理をしたという証拠となる記録は何一つ示せないのです。

 

これは公務員である登記官と農業委員会が諸規定を無視して厳正でなく、潜脱に加担することになる処分を行ったものであり、公務員職権の濫用(刑法193条[iv])に該当するのではないでしょうか?

 

この問題について再度ふり返って見ます。

 

 

1.       先に見たように平成20年6月11日に㈱ハローディは下関市農業委員会に農地法第5条第1項第3号の農地転用届(現行の農地法第5条第1項第6号に該当)を提出し、6月13日に交付されたが、当時その地目は農地(田、畑)として地番毎に面積等を付けて同年7月4日、下関市農業委員会総会議案として提出されている。

図1

 

平成20年7月4日 下関市農業委員会総会議案では当該地の約8割は農地の㈱ハローディ農地転用届

 

図2

同上

 

2.       平成20年3月25日に提出された㈱ハローディの綾羅木店新築のための開発許可申請書における設計説明書においてもその地目の78.58%、7,001.12㎡が農地である

図3

 

 

3.       それが平成26年1月16日と21日の土地登記簿において六筆全部が「昭和年月日不詳変更」により宅地に変更されている。

図4-1(外5筆は省略)

 

 

4.       平成28年3月30日、金山三郎さんが法務局下関支局を訪ね、H担当者に会い、それまで登記簿上、農地とされた六筆全部が突然、宅地に転用されたわけを聞いたところ、H担当者は「市農業委員会と協議した。法務局が地図作成するから、現地を見て確認してもらい、(農業委員会より)地目変更して結構ですよと口頭で確認を取っている」と回答している。

またH担当者によれば当該農地所有者に法務局に来てもらい、現況宅地だがいつ宅地になったかを尋ね、山口合同ガス㈱の建物が建つ前で不明、であるので昭和年月日不詳になったという。

 

5.   口頭による職務権限で農地の地目変更できる?!

しかし農地法で違反者には厳罰が下される違反転用に該当するか否かという重要なことが、登記官と市農業委員会とが口頭で地目変更を確認しただけであり、証拠となる記録の公文書を何一つ残してはいない。

 

また登記官が法務局下関支局で、現況は宅地だがいつ宅地にしたのかと所有者に口頭で尋ね、その回答だけで、「年月日不詳変更、宅地」と処理してしまう手続きで良いのだろうか?

 

6.       もしも、そこに長年にわたる農地の違反転用という重大な違法行為(罰則は人に対しては「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」と、法人に対して「1億円以下の罰金」が科せられ、さらに行政処分として許可の取消し処分や原状回復命令等が科せられる)、さらに農地上に建物は建てられないので建築基準法違反、開発許可なく開発が行われ都市計画法違反、土地登記簿への不記載の不動産登記法違反、さらに農地並み課税や大口ガスタンクや建築物等の固定資産税の莫大な脱税疑惑までが浮かび上がってくるのである。(建物の解体届も除却届も出されていないのはなぜか)疑惑だらけである。

 

7.       このような疑惑を解明するためにも登記簿上の地目が農地である土地について、農地以外の地目への地目変更の登記については、登記官の認定が厳正さを欠いたり、登記官が農地法の潜脱に加担しないように「登記簿上の地目が農地である土地について農地以外の地目への地目の変更の登記申請があった場合の取扱いについて」法務省民事局長通知(昭和56年8月28日)規定がある。

 

8.       それによると以下のように定められている。

 

①     登記官はその土地の「転用許可」の有無、対象土地の現況その他の農地の転用に関する事実について(所定の様式により)照会すること。

②     登記官は①の照会をしたときは、農業委員会の回答を受けるまでの間、登記処理を留保すること。

 

9.   また農業委員会は「登記官から照会を受けたときは、照会に係る土地について〔転用許可〕を受けているか否かを確認し、さらに転用許可を受けていない事案については転用許可を要しないものであるか否かを確認するとともに、原則として農業委員または農地利用最適化推進委員3人以上と農業委員会事務局職員により遅滞なく現地調査を行い、現況が農地であるか否かを確認するものとする。」(同上 農林水産省局長通知)

 

10..   そして農業委員会は登記官に対して「地目変更登記に係る照会に対する回答書」を所定の様式で通知すること。(農林水産省局長通知)

 

11.   なお、非農地の現況確認については「土地の所有者が(非農地)の証明書交付を農業委員会に申請し、農業委員会は原則として農業委員と事務局職員とで現地調査を行い、現況が農地か非農地かの決定を総会に諮り、承認後、現況確認書を交付する。(市街化区域では現地調査後、確認書を交付するものとする)」(下関市が使う「現況確認書交付事務取扱要領」)となっている。

 

12.   そこで金山三郎氏が8の①と9、10にもとづき登記官から市農業委員会に提出された「農地の転用事実に関する照会書」と、市農業委員会から登記官への「地目変更登記に係る照会に対する回答書」又は調査結果の公文書公開請求書を3月13日付で提出した。そして4月1日付で下関市農業委員会から回答が届いたがこれらの文書は存在しないという。

図5

 

 

13..   さらに3月23日、11にもとづき当該地を市農業委員会による現地調査後の確認書の公開請求を求めたところ、これもまた存在しないという。

図6

 

 

14.   法務局担当者は口頭のやりとりで当該農地六筆すべてを宅地に変更したというが、それを裏付けるように先の7~11に規定される公文書も存在しないという。もしも山口合同ガスが永年にわたり約3千坪の敷地の約80%が土地登記簿上、農地のままで違法建築し、営業活動をやって来ていたとしたら、農地法に止まらず多くの違法行為と関連する。しかし、法務局登記官と農業委員会、土地所有者との口頭のやりとりだけで、現況は宅地であるから当該農地全部が「昭和年月日不詳変更」として宅地に変え得るなら、本件に係る農地法はじめすべての法律はあって無きがごとしである。

 

15.   果たしてこんなことが許されるのか、法務局登記官の地目変更の取扱いはあくまでも局長通知に則り所定の公文書に記録を残しておきべきであり、その公文書がないということは、超一流企業の違法行為を隠蔽することとなり、法治社会は崩れ去ることになる。森友事件や桜を見る会と似た構造が今の下関市にもあるということになるのではないか。

 

まとめると

①本件において平成44年に山口合同ガス㈱、西日本液化ガス㈱は、その賃貸した農地部分を市農業委員会で宅地に転用の許可を得なければならなかったが、それをしないままに建築物や大口ガスタンクを建てたのではないか。土地所有者達は慣れない登記手続きは超一流企業を信頼し任せたと思われる。結果的に法務局下関支局の土地登記簿の当該地は平成26年1月までは農地のままであった。

 

②その土地に㈱ハローディもまた平成20年4月9日から農地転用のために必要な農地法第3条許可も得ず、5条に違反して開発工事に着手し(違法転用)、新築工事完了後も地目変更もせずに平成26年1月まで当該地は農地のままであった。

 

③平成20年6月11日の農地法第5条にもとづく農地転用届は受理され、同年7月4日に下関市南部農業委員会による総会でそれは専決処理されたことになっているが、それはいったい何であったのか?

 

④法務局下関支局の登記官は一定の様式による公文書で市農業委員会に当該農地の照会を求めなければならなかった。

 

⑤市農業委員会は登記官に対して一定の様式による公文書で回答すべきだった。

 

このような取り扱いを行った法務局下関支局の登記官と下関市農業委員会は「公務員職権濫用罪[v]」(刑法193条)が成立するのではないだろうか。

 

そして下関市はこのような山口合同ガス㈱、西日本液化ガス㈱、さらに㈱ハローディの重大な違法行為、そして公務員職権乱用罪を容認し続けているのです。

 

下関市豊浦町黒井の建設残土等不法投棄事件(2009年4月16日)から11年目を迎えた被害者・金山三郎さんが情報公開請求等で収集した証拠にもとづきさらに下関市の加担した違法行為をお知らせしていきたい。

 

つづく


[i] 潜脱:潜脱(せんだつ)とは、法令等による規制を、法令で禁止されている方法“以外”の方法により免れること。一見すると、法令等に違反していないように見えるところがポイントである。一般的な表現では、「法の網を潜(くぐ)る」が潜脱に近い意味を表わしていると言える。(Lotus21より)

 

[iv] 公務員職権の濫用(刑法193条)(こうむいんしょっけんらんようざい)は、刑法193条に規定されている「汚職の罪」(刑法25章)に含まれる犯罪類型であり、公務員がその職権濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害する行為を内容とする。