カタログが発行されました。1500円+送料で申し込めます。
(101点の画像と説明、歴史的製本のレプリカ、用語集、20年のあゆみを収録)
東京製本倶楽部のサイトはこちらから
4月12日(金)~14日(日)
日比谷図書文化館(旧都立日比谷図書館)
10:00~17:00
14日は15:00まで
私は3点参加させてもらいました。
エントリー40人で、作品数が100点ちょうど?くらいだったので
出し過ぎ?
でも、四つ目綴じ+修理は他に無かったし、
歴史的製本、背綴じ紐付き製本の最古の遺物は
まあ、入口に、歴史的製本の順を追った展示があったのですが、
そこそこ、独自性は出せたかなとも思いました。
40通ほどDMを発送して、芳名帳から、いらした方がおよそ30人
全体で500人弱の来廊だったので、まあ健闘したかも知れません。
何人かの方にはお会いできませんでした。
残念。
各点の説明はこちらから。
今回は3点出展しました。
DMチラシに掲載されている方々は、ほとんどの人と知り合い。みなさん上手な方ばかりです。
私も多少考えて、今回は、以前に展示した「吾輩ハ猫デアル」の1-3章を私家版として印刷したもの。
表紙布には、教え子、型染め作家関美穂子さんの原画を商品化したものを、作者の了解を得て使いました。
背のタイトルは、ぷりんとごっこです。
こちらは、紙質(竹尾扱いのタブロ)とフォント(ジャストシステムの明治教科書明朝体)での印刷見本も
展示させてもらいました(世話人の方々、あれこれわがまま言ってすみません)
また、普通は公開しない、修理の依頼を受けたものを、クライアントの了解を得て出展します。
本文を裏打ちして補強したり、表紙を補ったり、綴じを補ったりなどしたものです。
明治初期に、まだ木版刷り
(と思っていたら、これは銅版印刷だろうと、二人の専門家に指摘されました)
で刊行された漢字字典のようなもの1点です。活版印刷で無い事は私にも分かりますが。
なかなか考えがたい厚さの辞書です。
これに使った針(みんな畳み針かと言うのですが、「帆差し針」として売っているものです)
も展示しました。
そして、ルリユールを目指した私が、才能のなさを自覚して、「転向」したわけでもないですが
書物史のサンプル作品として、8世紀の製本の綴じの再現を出展しました。
Codex Victor とは、最初の持ち主、あるいは書写、あるいは発注主の Victor ウィクトールか、
7世紀のイタリア、カプアの司教の名前です。冒頭に、父と子と聖霊の御名において、カプアのウィクトールがこの書を作る(ないしはあつらえる)と書いてあります。
それを9世紀頃のイングランド(当時、まだイングランドは無く、七王国の時代)で背綴じ紐を着けて
製本しなおされました。追って掲載しますが、表紙の銀細工には、ケルトの文様が刻まれています。
そこで、現在のオランダあたりで、殉教した St, Bonifatius が持っていたので
Codex Bonifatius 1 とも呼ばれています。(他に2冊あり、それぞれ、最初の書写をした人の名前と、Bonifatius 2,3 と呼ばれています)
51折あり、歴史的な評価は分かりませんが、この厚さが、背綴じ紐を後押ししたかも知れません。
シングルコラムに、四福音書他を収めるというボリュームなので、厚くならざるを得ません。
背幅は135ミリあり、ほぼ再現しています。一方、束は75ミリで、現存の実物も、この写真のように
逆反りしているという事です。