第170回 コヘレトの言葉 1〜2章 聖書通読

【期間】5/11(土)

【通読箇所】コヘレトの言葉 1〜2章

【聖書箇所と感想】

コヘレトの言葉 1

1エルサレムの王、ダビデの子、コヘレトの言葉。

2コヘレトは言う。なんという空しさ なんという空しさ、すべては空しい。

3太陽の下、人は労苦するが すべての労苦も何になろう。

4一代過ぎればまた一代が起こり 永遠に耐えるのは大地。

5日は昇り、日は沈み あえぎ戻り、また昇る。

6風は南に向かい北へ巡り、めぐり巡って吹き

風はただ巡りつつ、吹き続ける。

7川はみな海に注ぐが海は満ちることなく どの川も、繰り返しその道程を流れる。

8何もかも、もの憂い。語り尽くすこともできず 目は見飽きることなく 耳は聞いても満たされない。

9かつてあったことは、これからもあり かつて起こったことは、これからも起こる。太陽の下、新しいものは何ひとつない。

10見よ、これこそ新しい、と言ってみても それもまた、永遠の昔からあり この時代の前にもあった。

11昔のことに心を留めるものはない。これから先にあることも その後の世にはだれも心に留めはしまい。

12わたしコヘレトはイスラエルの王としてエルサレムにいた。 

13天の下に起こることをすべて知ろうと熱心に探究し、知恵を尽くして調べた。神はつらいことを人の子らの務めとなさったものだ。 

14わたしは太陽の下に起こることをすべて見極めたが、見よ、どれもみな空しく、風を追うようなことであった。

15ゆがみは直らず 欠けていれば、数えられない。

16わたしは心にこう言ってみた。「見よ、かつてエルサレムに君臨した者のだれにもまさって、わたしは知恵を深め、大いなるものとなった」と。わたしの心は知恵と知識を深く見極めたが、 

17熱心に求めて知ったことは、結局、知恵も知識も狂気であり愚かであるにすぎないということだ。これも風を追うようなことだと悟った。

18知恵が深まれば悩みも深まり 知識が増せば痛みも増す。

→エルサレムの王でダビデの子といえばソロモン。ソロモンは史上最高の知恵と栄華の人。

世界で最も頭の良い人でも、知を極めることはできない。神は無限の秘密を自然の中に隠しているし、知識を増やして誇ったり満足したりしても、新しいものが次々生じている一方、人生はあっという間に終わってしまう。


コヘレトの言葉 2

1わたしはこうつぶやいた。「快楽を追ってみよう、愉悦に浸ってみよう。」見よ、それすらも空しかった。

2笑いに対しては、狂気だと言い 快楽に対しては、何になろうと言った。

3わたしの心は何事も知恵に聞こうとする。しかしなお、この天の下に生きる短い一生の間、何をすれば人の子らは幸福になるのかを見極めるまで、酒で肉体を刺激し、愚行に身を任せてみようと心に定めた。

4大規模にことを起こし 多くの屋敷を構え、畑にぶどうを植えさせた。

5庭園や果樹園を数々造らせ さまざまの果樹を植えさせた。

6池を幾つも掘らせ、木の茂る林に水を引かせた。

7買い入れた男女の奴隷に加えて わたしの家で生まれる奴隷もあり かつてエルサレムに住んだ者のだれよりも多く 牛や羊と共に財産として所有した。

8金銀を蓄え 国々の王侯が秘蔵する宝を手に入れた。男女の歌い手をそろえ 人の子らの喜びとする多くの側女を置いた。

9かつてエルサレムに住んだ者のだれにもまさって わたしは大いなるものとなり、栄えたが

なお、知恵はわたしのもとにとどまっていた。

10目に望ましく映るものは何ひとつ拒まず手に入れ どのような快楽をも余さず試みた。どのような労苦をもわたしの心は楽しんだ。それが、労苦からわたしが得た分であった。

11しかし、わたしは顧みた この手の業、労苦の結果のひとつひとつを。見よ、どれも空しく 風を追うようなことであった。太陽の下に、益となるものは何もない。

12また、わたしは顧みて 知恵を、狂気と愚かさを見極めようとした。王の後を継いだ人が

既になされた事を繰り返すのみなら何になろうか。

13わたしの見たところでは 光が闇にまさるように、知恵は愚かさにまさる。

14賢者の目はその頭に、愚者の歩みは闇に。しかしわたしは知っている 両者に同じことが起こるのだということを。

15わたしはこうつぶやいた。「愚者に起こることは、わたしにも起こる。より賢くなろうとするのは無駄だ。」これまた空しい、とわたしは思った。

16賢者も愚者も、永遠に記憶されることはない。やがて来る日には、すべて忘れられてしまう。賢者も愚者も等しく死ぬとは何ということか。

17わたしは生きることをいとう。太陽の下に起こることは、何もかもわたしを苦しめる。どれもみな空しく、風を追うようなことだ。

18太陽の下でしたこの労苦の結果を、わたしはすべていとう。後を継ぐ者に残すだけなのだから。 

19その者が賢者であるか愚者であるか、誰が知ろう。いずれにせよ、太陽の下でわたしが知力を尽くし、労苦した結果を支配するのは彼なのだ。これまた、空しい。 

20太陽の下、労苦してきたことのすべてに、わたしの心は絶望していった。 

21知恵と知識と才能を尽くして労苦した結果を、まったく労苦しなかった者に遺産として与えなければならないのか。これまた空しく大いに不幸なことだ。 

22まことに、人間が太陽の下で心の苦しみに耐え、労苦してみても何になろう。 

23一生、人の務めは痛みと悩み。夜も心は休まらない。これまた、実に空しいことだ。

24人間にとって最も良いのは、飲み食いし

自分の労苦によって魂を満足させること。

しかしそれも、わたしの見たところでは

神の手からいただくもの。

25自分で食べて、自分で味わえ。

26神は、善人と認めた人に知恵と知識と楽しみを与えられる。だが悪人には、ひたすら集め積むことを彼の務めとし、それを善人と認めた人に与えられる。これまた空しく、風を追うようなことだ。

→仕事による労苦も楽しむことができるし、食事は心に満足を与えてくれる。しかし功績もいつか、皆に忘れ去られる。

痛みや苦しみに喘ぎながら生きる人や動物も多い。それでもなぜ生きなければならないのか、知ることには意味がある。それは神の創造の意図。到底完全には理解できないが。