31. バレエでは仙腸関節を筋力で閉鎖する

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ニューテーション(バレエの立ち方ではない)の時、

仙腸関節は関節の形状によって閉鎖される

寛骨の内旋(インフレア)によって、仙骨耳状面の前上方が圧迫される。
(仙腸関節の接触面は耳状面前上方)
この位置は仙腸関節の締まりの位置であり、関節の形態的に、寛骨が仙骨を挟み込んで、骨同士がよく噛み合い、安定して仙骨を支えることができる。


骨・靭帯性の支持力が働いて関節に閉鎖力をもたらすため、仙腸関節を閉鎖するために筋力を使わなくても荷重支持に対応できる。
これをフォームクロージャー(形態的閉鎖)と呼ぶ

 


バレエの立ち方は
 アウトフレア

カウンターニューテーション

 

 

カウンターニューテーションの時、

仙腸関節は筋力によって閉鎖される

 

寛骨の外旋(アウトフレア)によって腸骨耳状面が前方へと転がると、凹凸の法則に従い腸骨耳状面が後下方に滑り運動を起こし、仙腸関節の接触面は耳状面後下方に移動する。


この位置は仙腸関節の緩みの位置であり、骨・靭帯性の支持力は弱く、形態的には安定性が悪い。
この位置で仙骨を支え、安全に仙腸関節の荷重支持を行うためには、筋力を使って腸骨後方を閉じ、腸骨耳状面を仙骨耳状面に押し付け、関節面を圧迫して閉鎖力を加える必要がある。
これをフォースクロージャー(筋力的閉鎖)と呼ぶ。

 

 

腸骨筋は、腸骨に起始し、大腰筋と共に大腿骨の小転子に停止する。腸骨の内面のほとんどを覆い、腸骨と大腿骨を結んでいる。その作用はハムストリングスと共同して腸骨を外旋・前傾させ、アウトフレア・カウンターニューテーションを誘導する。

 

腸腰筋は、腸骨に直接付着し、直接腸骨を動かしており、その筋体積が梨状筋(仙骨に直接付着し、仙骨を動かしている)と比較すると、4倍も大きく、その分筋力も強いため、仙腸関節に筋力的閉鎖力を与える筋肉として重要な筋肉である。

 

 

梨状筋は、仙骨前面に起始を持ち、大腿骨の大転子に停止する。

梨状筋の収縮は仙骨を起き上がらせ(後傾させ)カウンターニューテーションを誘導する。

 

 

ハムストリングスは、(大腿二頭筋短頭以外は)坐骨結節に起始を持ち、膝より下で脛骨と腓骨に停止する。

骨盤下部の坐骨結節を下に引くことで、寛骨のアンカーとなり、腸骨筋との共同作用で寛骨にアウトフレアをもたらす。

かつ仙結節靭帯の緊張を高めて、仙骨を起き上がらせ(後傾させ)カウンターニューテーションを誘導する。

 

ハムストリングスを構成する大腿二頭筋は、しばしば坐骨結節というよりも仙結節靭帯に直接付着し、30%以上の大腿二頭筋は仙骨に直接付着していたという報告もある(骨盤と仙腸関節の機能解剖 John Gibbons[著])

 

 

 

 

バレエの立ち方で立っている時は、

腸骨筋梨状筋、ハムストリングスが働いて、これらの筋力でカウンターニューテーション・アウトフレアを維持し、仙腸関節を筋力的に閉鎖し、荷重を支持している。


 

 

画像引用元)骨盤と仙腸関節の機能解剖

―骨盤帯を整えるリアラインアプローチ

John Gibbons [著]