18. 大腰筋・多裂筋の腰椎側屈・回旋作用
「側屈といえば腰方形筋」、「回旋といえば内腹斜筋・外腹斜筋」
いやそれもちょっと待った。
椎骨に直接付いていて、脊柱に最も近いところで働く、大腰筋・多裂筋コンビを忘れてはいけない。
バレエでも臨床でもほとんど無視されているようだが、大腰筋・多裂筋 には、腰椎の、側屈・回旋作用がある。
バレエは、いわゆる「内側の筋肉」で動かせと言われる。
バレエに限らず、ベリーダンスはもちろんヒップホップでも実は同じこと。
腰椎を守っている大腰筋・多裂筋の働きが不十分なまま、内・外腹斜筋で強く腹壁を捻ったり、側屈したりすると、しなやかさが出ないばかりか、可動域も出ず、しかも腰を痛めやすい。
胸郭や腹壁(肋骨やお腹の表面)で曲げようとしない、反ろうとしない、捻ろうとしない。
動きの初動は脊柱(背骨)から。
お腹と背中の1番奥深いところで、脊柱のすぐ脇にある腹筋(大腰筋)と背筋(多裂筋)で動かす。
これができている人なら、体幹を大きくしならせて、しかも自然で滑らかな動きで踊れる。(動作が大きくなれば内・外腹斜筋、腰方形筋は考えなくても使われるから考えなくていい)
これは、「しなりで踏む」とかいう、「えっ?何それ?」状態なことに比べれば、比較的難易度が低い課題ではないかと思う、思うんだけど......
ジャズダンスやハウスやヒップホップでは、日本人でも普通に中心からしならせて、脊柱の波のうねりで踊れてるのに(出来ない人もいるけど一目で下手だと分かるからピックアップされない)、「お腹で引き上げ」てるバレエの人達にはどうしても出来ないことらしい。
大腰筋は腰椎を側屈させる
多裂筋は腰椎を側屈させる
大腰筋・多裂筋は腰椎を回旋させる
右大腰筋:
腰椎を屈曲・右側屈・左回旋
腰椎を伸展・右側屈・左回旋
大腰筋・多裂筋は、腰椎を同側に側屈させる作用と、反対側に回旋させる作用がある
右側の大腰筋と右側の多裂筋は、共同して腰椎の右側屈と左回旋を起こす。
左側の大腰筋と左側の多裂筋は、共同して腰椎の左側屈と左回旋を起こす。
椎間関節の傾きによって、腰椎の側屈には逆方向の回旋運動が付随する。これをカップリングモーションと呼ぶ。
大腰筋と多裂筋は腰椎のカップリングモーションを上手く説明できる。