私は宇宙人(エイリアン)諸星ヒカル。東京都にある大学で食品関連の講師をしている。本来の業務はこの惑星の調査であり、毎回宇宙の本部に報告している。調査の範囲は文化、芸術、経済、戦争などあらゆる分野が対象である。片腕となるのがモノリスで、私を時空に縛られることなく移動させることができる。本欄では食品に関することをリポートする。

 

 今回のテーマはカツオである。スズキ目・サバ科に属する魚で、外洋性の大型肉食魚である。世界の熱帯・温帯海域に広く分布する。19~23℃程度の暖かい海を好み、南洋では一年中見られる。日本近海では黒潮に沿って春に北上し、秋に南下という季節的な回遊を行う。日本では太平洋側に多く、日本海側では見かけることは稀である。

 マナガツオやソウダガツオは本来のカツオとは異なる。区別のために、ホンガツオやマガツオ(各地)、コヤツやビンゴ(仙台 : 若魚)、ヤタ(仙台 : 成魚)、サツウ(小名浜)、マンダラ(北陸)、スジガツオ(和歌山県・高知県)などと呼称されることがある。

 

 初鰹は港によって時期が異なる。食品業界では漁獲高の大きい高知県の時期(4~6月頃)を毎年の「初鰹」としている。南下するカツオは「戻り鰹」と呼ばれる。低い海水温の影響で脂が乗っており、北上時のサッパリした食味とは異なる。戻り鰹の時期も港によってずれがあるが、秋の味として受け入れられている。

 

 江戸時代の人々は初鰹を特に珍重した。「粋」の観念により、「女房子供を質に出してでも食え」といわれ、非常に高値となった時期があった。「目に青葉 山時鳥(ほととぎす)初松魚(かつお)」という山口素堂の俳句は有名で、現代では5~6月に該当する。

 

 カツオの肉を干して乾燥させ、長期保存に適するように加工することは古来より行われていた。三枚におろしたものを亀節、これらから背と腹におろしたものを本節という。その中でも背側を使ったものを雄節(または背節)、腹側を使ったものを雌節(または腹節)という。江戸時代に燻煙することによって水分を効果的に除去する焙乾法が考案され、現代の鰹節が生まれた。

 

 関東圏では江戸時代から明治時代にかけて、「枯節」の技法が発達した。焙乾した鰹節(荒節)の表面を削り(裸節)、コウジカビを生やして熟成させ、水分を抜き乾燥させると共に雑味成分の分解を促したものである。数ヶ月にわたって4回以上のカビ付けを行った高級品は本枯節と呼ばれる。薄く削り「削り節」に加工して利用する。生産は鹿児島県枕崎市が日本一を誇る。これに次ぐのが静岡産である。

 

 カツオブシのうま味はイノシン酸であり、醤油中に多く含まれるグルタミン酸と一緒になると相乗効果によりうま味が強くなる。

*シン・パロディ:カツオ武士

モノリスは筆者をこの世界と並行して存在するパラレルワールドに連れて行ってくれる。永井豪氏の「まぼろしパンティ」に登場する「パンティースリあらわるの巻」の蛇口三平は「釣りキチ三平」のパロディである。これらに沿った面白い例を紹介しよう。

カツオ武士は戦に強い武士だった。兜には本物のカツオブシが飾ってあった。戦が長引いた際の非常食にもなっていた。

*食品なんでも相談所 横山技術士事務所
*3頁目 発酵食品もの知り講座
*4頁目 大豆総合研究所
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