我々の生活にとって、河川は重要な存在である。まず、農業や工業、生活に必要な用水の供給減になる。かつては、物資の運搬にも大きな役割を果たしていた。千葉県の銚子や野田から、江戸に醤油を運搬したルートが河川だった。よいことばかりではなく、氾濫などにより、人々の生活を脅かす存在でもあった。

 

 したがって、河川が神事と密接に関係しているものがたくさん存在する。国土交通省では、日本の川に関わる主な年中行事をリストアップしている1)。年の初め1月1日には、若水祭りが行われる。新鮮な水を湧水や川から汲み、その水を使い祓いや禊ぎを行う行事である。その年の無病息災、厄除け祈願をする。12月1日には、川浸りがある。年の終わりに水神を祀る行事である。両者の間にも各種の神事が存在する。

 

 中でも、夏季は水辺で行われるお祭りや神事が多い季節である。特に「川」を舞台に行われるものは「川祭り」「川開き」(6月1日)と呼ばれている。まず、水田に十分な水が必要な時期という理由が挙げられる。さらに、本格的な暑季を前に、稲につく虫の駆除や悪疫流行に備え,悪霊を追い払うことなどが目的となる。

 

 川祭りは神輿の川渡しや船に乗せた楽車(だんじり)のお練りなどが行われる。優美かつ勇壮でありと見どころがたくさんある。中でも規模の大きさや歴史・由緒といった観点から、以下が三大川祭りとされている。

① 尾張津島天王祭(愛知県津島市)

② 天神祭(大阪府大阪市)

③ 管絃祭(広島県廿日市市)

 

 最初の尾張津島天王祭は津島神社の祭礼で、「日本三大船祭り」や「日本三大提灯祭り」の一つとも称されている。約600年の歴史を持つ、大変荘厳、華麗な祭礼である。

 

 2つめは1000年以上の歴史を持つ大阪天満宮の祭礼である。平安時代中期(951年)、大阪天満宮近くの浜から鉾(刀)を川に流し、流れ着いた浜に斎場を設けて禊(みそぎ)を行う「鉾流神事」に起源があるとされる。このことにより、疫病退散を祈願したのである。

 

 最後は広島県廿日市にある厳島神社で執り行われる祭礼である。平安時代の京都では、貴族が池や川に船を浮かべ、優雅な「管絃の遊び」を催していた。厳島神社を造営した平清盛はこれを厳島神社に移し、神様をお慰めする神事として執り行うようになったのが、起源とされている。

 

 管絃祭が海で行われているのに川祭りといわれるのは、川に起源をもつ行事のためである。平安絵巻を思わせる優雅さと、瀬戸の海で観ることができる。

1) 川に関わる代表的な年中行事

 https://www.mlit.go.jp/river/pamphlet_jirei/kasen/rekishibunka/waka&matsuri06.html

*営「餃」中:バスに乗っていたら、写真の「看板」を発見した。こういうセンスは大好きである。おもわず、バスを降りて店に入りたくなった。

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