日本初の原子力潜水艦「原竜」は南半球のF国最大の都市スドニーの沖合いた。潜望鏡を上げて街の様子を観るのは艦長の長澤である。動くものは何もなく、周囲一杯に灰が積もっていた。灰は近隣のG国のチラナキ火山火山灰と思われる。船の中にいても、時折地震が発生していることが分かるのだ。

 

 F国には約2800万頭の牛と約7400万頭の羊が生育している。艦長に代わって潜望鏡を観ている副長に艦長は言った。「この船のエネルギーは原子力だから、心配はいらない。食糧は節約する必要がある。上陸できれば、牛の2,3頭捕まえることができる。オージービーフの赤身はうまい。ただし、病原菌が蔓延している中でこれはかなわぬ夢である」

 

 艦長は全員を食堂に集め、現状を説明した。今後の選択肢として、南極の昭和基地を目指すことにしたいと提案した。南極であれば、病原菌はいない可能性が大だからである。他に選択肢は考えにくく、反対者はいなかった。

 基地に近づいて、無線がつながった。南極にある各国の基地に異常はないという。また、他国の潜水艦も連絡がついているという。基地には5名、原竜の中には7名の若い女性が存在する。他の基地も状況は同様だった。人類は南極から再出発できる可能性がある。どこかで同じような話を聞いたことがある。小松左京の「復活の日」である。船のメモリに小説とビデオがある。今後に備えて視聴しておこう。

 WHOは「緊急勧告」を行った。L村病と命名された病気の特徴と注意事項である。不要不急の外出を控えて、衛生に配慮してほしいというものだった。人類は何度も病原菌を克服してきたのである。ペストや新型インフルエンザ、新興感染症のコロナなどである。今回も必ず克服できるので、落ちついて行動してほしいという内容だった。

 

 この病原菌がどこから来たかは不明である。宇宙から来たという可能性に触れる科学者がいた。パンスペルミア説である。「天上世界からまかれた種が生命の起源」だという、信仰としてのパンスペルミアは、エジプト古王国や初期のヒンドゥー教やユダヤ  

教などに認めらえる。

 

 近年では1903年に、スウェーデンのスヴァンテ・アレニウス提唱している。アレニウスの「光パンスペルミア」に対する、隕石などに付着した生命の種子に起源があるという説は「岩石パンスペルミア 」と称される。

 

 宇宙から来たとすれば、「悪いことを覚え過ぎた人間」に対する神の怒りかもしれない。

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