化石(英語: Fossil)とは、地質時代に存在していた生物が死骸となって残っていたもの、もしくはその活動の痕跡のことを指す。先日の本ブログで中国土産の化石セットを取り上げている1)。
そうであれば、化石水という存在をご存じだろうか。水は活動の痕跡を残すことはあっても、生物ではない。その正体は地層に閉じ込められた昔の水のことである。基本的に大気との水循環から切り離された水であり、海水が残存したものも含まれる。
化石水を含む帯水層は水で満たされた半多孔質の岩石で構成されている。不浸透性の地質層が帯水層を囲み、その中の水を隔離している。水は最近の地質時代に気候が比較的湿度が高かった砂漠で発見されることが多い。例えば、北アフリカに位置するリビアであり、米国のオガララ帯水層である。ほとんどの化石水は1~4万年前、またはもう少し新しい時期に最終氷河期の氷河融解による大洪水に由来すると考えられている。
化石帯水層は乾燥および半乾燥地域の人々にとって非常に重要な水源である。汲みだされた水は農業や産業など、多様な目的に使用されている。前述のオガララ帯水層は米国中部の地下に分布する浅層地下水層である。世界最大級の地下水層で、総面積は450,000km2(日本の国土の約1.2倍)におよぶ。
ここでは小麦をはじめ大豆やとうもろこしを多く生産されている。また、全米有数の畜産地域でもある。降水や地表水の乏しい乾燥地帯にも関わらず大規模な農業開発を継続できているのはオガララ帯水層の地下水を用いた灌漑によるものである。その結果、オガララ帯水層の各所で地下水位の低下している。年間1.5mにもおよぶ水位の低下が見られた地域もあり、井戸を深くする必要があり、涸れてしまった井戸も少なくない。
上記とは全く異なるが、南極にも化石水ボストーク湖が存在する。最大の氷底湖で東南極氷床の表面から約4,000m下に存在する。水は約1500万年から2500万年の間、外部から隔離されていると考えられている。湖は珍しい生物を含む化石保護区である可能性がある。
石油と同じように、化石水は限りある資源といえる。大事に使用する必要があるが、いずれ枯渇する。そうなれば、そこで暮らしていた人々は移住せざるを得ない。また、農産物の生産が減少するため、価格は高騰するだろう。石油であれば、新しいエネルギー源が開発されつつある。農業も通常の耕地における生産性をさらに高める努力が求められる。それまで、化石水が枯渇しないことを願う。
1) 化石セット https://ameblo.jp/yk206/entry-12821715030.html
*ダイヤモンド富士:11/19日(2023年)わが家のベランダから眺めることができた。前回眺めたのは2014年のことだったa)。いいことがありそうな予感がする。
a) 三鷹からダイヤモンド富士 https://ameblo.jp/yk206/entry-12522406354.html
*JASと食品表示(2023年11月号):以下が掲載された。
食品照射を考える https://jafpec.com/wp30/wp/works/works-2595/
*中国ひとり歩記 連載中 https://ameblo.jp/yk206/entry-12815504410.html
*吉祥寺サバイバル 連載中 https://ameblo.jp/yk206/entry-12827654762.html
*「大豆変身物語」アマゾンで購入可能(495円)
*発酵食品もの知り講座(連載中) https://yokoyama-food-enngineer.jimdosite.com/発酵食品もの知り講座