今回発酵性食物繊維がテーマである。
*初級:発酵性食物繊維から生成する短鎖脂肪酸に含まれないものは次のどれか。
1) 乳酸、2) 酪酸、 3) プロピオン酸

*中級:発酵性食物繊維に関する次の記述について、誤りが含まれるものはどれか。
1) 発酵性食物繊維には多くの水溶性食物繊維と一部の不溶性食物繊維があり、澱粉だが食物繊維と同じような役割を果たすレジスタントスターチ等が含まれる。
2) 腸内の発酵時に腸内細菌が短鎖脂肪酸をつくり、腸内を弱酸性に保って悪玉菌の増殖を抑え、腸管のバリア機能を高めて免疫機能を調整することが期待される。
3) 発酵性食物繊維を含む穀物類は玄米や小麦全粒粉、オートミールやスーパー大麦等があり、多くの量を主食として摂れるのが大きなメリットである。
4) 発酵性食物繊維を含む野菜・果物類はゴボウや玉ネギにはイヌリン、ブロッコリーやニンジンがあり、キウイフルーツに含まれる成分はペクチンである。
5) 日本人は平均7g/日程度発酵性食物繊維を摂取していると考えられており、もう2g増やせれば腸内環境のさらなる改善が期待できる。

*上級:発酵性食物繊維であるレジスタントスターチとは何か澱粉と比較しながら述べよ。


正答
*初級:発酵性食物繊維から生成する短鎖脂肪酸に含まれないものが問題である。
1)の乳酸が正答である。2)と3)は正しく、これらの他に酢酸が含まれる。

*中級:1)と3)4)の発酵性食物繊維の記載は正しい。2)の機能性に関する内容も問題はない。したがって5)が正答になる。平均7g/日程度ではなく、5g/日程度が正しい。

*上級:レジスタントスターチのスターチは澱粉のことであり、レジスタンス(ト)は
抵抗の意味である。何に対する抵抗かが要点で、消化酵素アミラーゼになる。α化(糊化)した澱粉は容易にアミラーゼにより分解される。
 

 レジスタントスターチが消化され難いメカニズムは次の4種類に分類されている。
RS1:雑穀のように硬い組織に囲まれているため酵素が澱粉まで届かないタイプ。
RS2:加熱不十分のため、未糊化の澱粉やアミロースの極めて多い澱粉など、澱粉の粒子自体が消化されにくいタイプ。
RS3:冷やご飯や春雨のように加熱糊化した後、冷めたり保存する過程で一部の澱粉が再結晶して消化されにくい構造に変化したタイプ。
RS4:加工澱粉の一種で、高程度に化学修飾することで酵素が作用しにくくなったタイプ。
 

 トクホの関与成分としても知られている難消化性再結晶アミロースもレジスタントスターチの一種であり、上記RS3のタイプに該当する。
*発酵食品もの知り講座 https://yokoyama-food-enngineer.jimdosite.com/発酵食品もの知り講座
*中国ひとり歩記 連載中 https://ameblo.jp/yk206/entry-12815504410.html