今回は粕漬(かすづけ)がテーマである。
*初級:粕漬の一種に松浦漬(まつうらづけ)があるが、食材は次のどれか。
1) 鮭、 2) 数の子、 3) クジラ
*中級:粕漬に関する次の記述について、誤りが含まれるものはどれか。
1) 粕漬けとは食材を酒粕またはみりん粕に漬ける手法を指す。また、その手法で造った漬物のことを指す。食材は野菜、果実、魚介類、食肉等なんでもOKである。
2) 食材は相互に、また容器に接しないようにその間に十分に酒粕を詰めて固く漬け込む。数日から数か月で漬け上がる。
3) 圧搾不十分な湿った酒粕が好まれる。濃厚な甘味があり、さらに甘みを付ける場合には砂糖を加える。みりん粕に漬けたものは味が淡泊である。
4) 酒粕にわさびを追加したわさび漬けも粕漬けの一種である。この場合、数の子があった方が喜ばれる。
5) 魚類は内臓類を処理し、塩を使用する場合がある。中型以上の大きい魚は切り身にしてから漬けることが多い。食肉は切り身に包丁を入れてから漬けることが多い。
*上級:粕漬の食材は野菜、果実、魚介類、食肉だけでなく加工食品など多種多様なものが存在する。その理由について、考察せよ。

正答
*初級:粕漬の一種である松浦漬の原料が問題である。
1)の鮭はありそうで、2)数の子は松前漬けの原料である。しかし、正答は3)であり、クジラの軟骨が原料である。
*中級:1)の製造法と、2)の時間に関する記載は正しい。4)のわさび漬けも同様である。5)の食材の処理方法の記述も間違いはない。
歴史に関して、「延喜式」(平安時代794年~1185年、中期)に記載があるという情報が存在する。しかし、みりんは存在せず、酒についてもはっきりしないため、疑わしい。
したがって、3)が正答になる。酒粕とみりん粕の内容が逆である。なお、酒粕に関する「圧搾不十分」という記述は正しい。
*上級:酒粕とみりん粕は圧搾したとはいえ、製品に由来する豊かな香りとうま味が存在する。これらが食材に浸透するため、どのような食材であってもおいしくなるのである。
また、アミラーゼやプロテアーゼなどの酵素も残存している。したがって、漬けている間にこれらが作用して、食材中の糖質やタンパク質の分解が起こり味の深みが増すことが考えられる。
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