今回は紅麹がテーマである。
*初級:野生の紅麹カビが生産する毒物は次のどれか。
1) ヒスタミン、 2) ソラニン、 3) シトリニン

*中級:紅麹と紅麹カビに関する次の記述について、誤りが含まれるものはどれか。
1) カビ(学名:Monascus purpureus)は糸状菌の一種である。この菌に代表されるMonascus属菌でデンプン質食品(主にコメ)を発酵させたものが紅麹である。
2) 紅麹は古くから中国や台湾、沖縄において、紅酒や豆腐よう等の発酵食品の製造に利用されてきた。
3) 一部のMonascus属菌は血清コレステロール降下作用を示すモナコリンKを生産し、国内外で医薬品として血清コレステロール降下薬として認められている。
4) 紅麹は血圧降下作用を示すGABA(γ-アミノ酪酸)を多く含んでおり、健康食品としても注目を集めている。
5) Monascus属菌が生産する赤色色素は古くから天然の着色料として利用されている。主要成分はアンカフラビンおよびモナスコルブリンなどで、練り製品等に用いられている。

*上級:紅麹を魚肉すり身に練り込んで着色した。この場合の表示について説明せよ。


正答
*初級:1)のヒスタミンはアミノ酸のヒスチジンから生成される有害物質であり、2)のソラニンはジャガイモに含まれる自然毒であり、どちらも異なっている。
 したがって、正答は3) シトリニンである。本物質は家畜において真菌性腎症を引き起こし、ヒトにおけるバルカン腎症や黄色米熱の原因と考えられている。Monascus属菌以外にも、Aspergillus属菌、Penicillium属菌でも生産される。本物質は皮膚を透過するため、直接触れることは避けるべきである。

*中級:1)の紅麹の説明は正しい。2)の用途の内容も正しい。4)のGABA、5) 赤色色素の記載も問題はない。
 したがって、3)が正答になる。モナコリンKは海外で医薬品として血清コレステロール降下薬として認められている。ただし、日本国内では未承認である。

*上級:紅麹は原料または食品添加物かという問題である。
 着色のため、添加した場合は後者の食品添加物扱いになる。したがって、原料の後に「/」などの区分けをした後、「紅麹」と記すことになる。
着色のため、オレンジジュースを用いて炊飯した場合と同じ扱いになる。これを一般飲食物添加物という。
 

*小林製薬紅麹サプリ問題:種麹説を撤回します(2024/04/02)。

 一つのロットではなく、2023/4~10月の製造分にプベルル酸が含まれているとのことである。そうであれば、可能性は工場内になる。種麹を接種した蒸米を運搬するラインや麹室がアオカビにより汚染され、通常の洗浄では落としきれなかったケースが考えられる。

 現時点(2024/03/31)の筆者の見解を述べておきたい。

 青カビ由来の「プベルル酸」が問題物質とされている。量的に多いので、工場のラインで汚染したということは考えにくい。種麹を造る際の非意図的な汚染の可能性が高い。蒸米に接種してアオカビの生育がどの程度だったかが問題になる。胞子着生のタイミングによるが、一見して分かった可能性もある。

 もし、意図的に行うのであれば、シトルリンを造る菌を種麹として使うことが普通だろう。工場のラインで発見されることはあり得ないからである。

*食品なんでも相談所 横山技術士事務所
*3頁目 発酵食品もの知り講座
*4頁目 大豆総合研究所
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