崖線(がいせん)とは崖が続く地形を指す。一般的に、この崖線は人の手が入らないことが多く、動植物が自然のままに残っている傾向にある。銚子市の屏風ヶ浦も崖線には違いないが、本ブログで注目するのは海ではなく川である。

 崖線は全国に存在するが、関東で有名な例に国分寺崖線と立川崖線がある。この範囲は武蔵野台地と呼称されているが、関東山岳から流れてきた多摩川が扇状に堆積物を広げてできた扇状地でもある。これらのことは、本ブログ「地下水」1)などに記してきた。

 国分寺崖線は、武蔵野を代表する地形であり、立川市から大田区にまで連続している。その長さは約30kmに及ぶ。地元では、ハケと呼ばれることが多い。国分寺市内にも北西端から南東部まで本崖線が連続し、貴重な樹林地を含む自然が形成されている。

 本ブログ「国分寺散策2021」2)に記したように、JR国分寺南口にある「殿ヶ谷戸(とのがやと)庭園」は、このハケを巧みに活用した日本庭園である。春夏秋冬の各季節に応じた植物が植えられている。どの季節に、訪問しても楽しめるのである。筆者は妻と訪れたことがある。

 残念なことに、園内は禁アルコールである。アルコールであっても、ミネラルウォーターの容器に詰めた日本酒ならばわからない。夏季であれば、水分補給は重要である。目立たないように、静かに口に含めればよいのだ。ふんわりした気持ちで庭園を眺めるのは悪くないだろう。

 国分寺崖線は関東ローム層の下に存在する古多摩川の侵食によって発生したと考えられている。前述のように、国分寺市から世田谷区にかけて存在する。世田谷区にある等々力渓谷も国分寺崖線の一部と言われている。高低差はなんと20mにも及ぶ。

 筆者は都立園芸高校を醤油出前授業で何回か訪れている3)。その帰路にここを散策したことがある。「本当にここが都会の世田谷なのか」と思うほどの別世界が開けている。そこここに、見るべきスポットが存在する。

 国分寺市では独自の「国分寺崖線区域」を設定し、重要視している。ポイントとして、湧水・地下水の涵養、崖線周辺の景観などである。後者は、崖下からと崖上からの両面が挙げられる。国分寺崖線における緑地の保全など自然環境の保持も含められる。

 筆者は「野川自然の会」の会員である4)。小金井市が活動の場になるが、国分寺崖線の一部になる(写真)。この活動には国分寺市が重要視しているポイントをすべて含んでいる。それ以外の活動が田んぼである。8月28日(2022年)の日曜日に稲架(はさ)タテを行った。稲架とは刈り取った稲を干すために用いる。翌週には稲刈りで、猛暑の夏もようやく秋モードに移る。
1) 地下水 https://ameblo.jp/yk206/entry-12754968139.html
2) 国分寺散策2021 https://ameblo.jp/yk206/entry-12716426809.html
3) 園芸高校 https://ameblo.jp/yk206/entry-12522406692.html
4) 野川自然の会 https://nogawashizennokai.jimdofree.com/
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