AI(英: artificial intelligence)、または人工知能は、計算(computation)とコンピュータ(computer)により、知能を研究する計算機科学(computer science)の一分野である。近年、AIの実力の向上は目増しいものがる。一つの分野として、AIによるいくつかの芸術作品の創作が試みられるようになっている。

 

 日経「星新一賞」は2013年より始まった日本経済新聞社が主催する理系的な発想に基づいたショートショートや短編小説に係る公募文学賞である。ショートショート作品で知られた作家・星新一氏の名を冠している。

 氏の作品はかなり読んでいる。やはり最後が肝要で、ここが決まるとすっきりした印象になる。ショートショート作品は短時間で読めるので、タイパともいえる。氏の監修した「ショートショートランド(写真)」という雑誌を全巻持っていた。ヤフオフでかなり良い価格(定価以上)で売れた記憶がある。

 

 星新一賞に話を脅そう。受賞作は日本経済新聞社より無料で電子書籍配信される。一般部門は人工知能など人間以外からの応募も可能になっている。その際、連絡できる代理人を立てる必要がある。本賞(2025年)の最終選考10作品に残ったAI小説「アルゴリズムの檻」の全文を、AI小説家の青野圭司氏がこのほど、自身のnoteで公開した1)。

 

 あらすじや登場人物の設定、執筆まで「ほぼ全てをAIに任せた」作品とのことである。星新一賞は人間の手が入っていないと応募できないこともあり、2割程度は手を入れたが、8割はAIに書かせたという。AIはここまでやれるようになっているのだ。

 

 具体的にはどのように進めているのだろう。想像すると、過去の作品をAIにインプットし、話の進め方や最後の決め方を学ばせる。これをもとに、いくつかの状況をAIに与えて創作させるといったやり方ではないだろうか。

 

 マンガでも同様な試みが行われている。TEZUKA2020プロジェクトによる日本のマンガ作品である。故手塚治虫氏の作品をもとにしている。ディープラーニングを用いた世界初の人工知能を使って制作された作品「ぱいどん」である。2019年10月1日、東芝メモリから社名を変更したキオクシアによる「#世界新記憶」キャンペーンの第1弾として発表された。AIの役割はプロット制作とキャラクターデザインにとどめ、詳細な設定は治虫氏長男の手塚眞氏が考案し、コマ割り、台詞、全身イラストといった実際の執筆部分の多くは人間の手で行われた。

 

 デジタル社会となった2030年の東京を舞台に、異能を持つホームレスの青年が事件解決に挑むストーリーである。及川アン、イスミの姉妹がぱいどんの元に訪れる。2人の父である科学者の及川定倍はクリーンエネルギー研究の第一人者で、海水からエネルギーを作り出す研究を行っていた。しかし、完成目前で定倍は突然行方不明となってしまったという。彼を見つけてほしいという依頼である。以降はネタバレになるので省略する。

1)https://note.com/aono_keishi/n/n7686ce6570bf