準結晶(英: quasicrystal)とは結晶ともアモルファス(非晶質)とも異なる、第三の状態の固体である。結晶を定義づける並進対称性は持たないが、原子配列に高い秩序性を有している。この研究に大きな貢献をしたダニエル・シェヒトマンに2011年のノーベル化学賞が授与された。
結晶は並進対称性を持つことから、その電子線回折などの回折像は2~4回および6回のいずれかの回転対称性を示す。一方、準結晶のそれは5回、10回対称を示す。さらに、準結晶の回折図形には鋭い回折スポットが現れる。アモルファスのようにランダムな構造ではなく、高い秩序度を有していることを示している。
このように並進対称性(周期性)を持たないが、高い秩序性が存在する構造として、一次元におけるフィボナッチ数列や、二次元におけるロジャー・ペンローズによって提唱されたペンローズ・パターンが知られていた。このような構造は、高次元空間の結晶構造を、その結晶構造の対称軸に平行でない低次元空間に射影することで得られる。
準結晶の金属に特有の物性として、金属としては異常に高い電気抵抗があげられる。例えば、アルミニウム、銅、鉄はいずれも良導体であるが、これらからなる準結晶Al-Cu-Feでは電気抵抗が10万倍にも達する。また、通常の金属の示す性質と逆に温度が低くなると抵抗が上昇する。むしろ、通常の金属の性質と逆に、欠陥が存在する場合に抵抗が低いといった特殊な性質を示す。
準結晶のフェルミ面には「擬ギャップ」と呼ばれる状態密度の落ち込みがあり、これが特異な電気的性質の原因となっていると考えられる。このことにより、系全体のエネルギーを引き下げ、準結晶の構造を安定化していると考えられる。バルクとしての準結晶(安定相)は、その非周期性のためへき開面を形成し難い。このため比較的硬くて強靭(脆くない)である。
準結晶は機械物性や磁性、水素吸蔵性にも特徴がある他、摩擦係数が非常に低い材料であることが分かっている。その特異性が注目されており、何らかの用途が見出される可能性が存在する。
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