「こんばんは、関光夫です。」
で番組が始まるFMラジオNHKの『夜のスクリーンミュージック』が、毎月、放送が楽しみでした。
私が聞いていたのは、中学から高校生の頃、なので、1977年から1980年くらいです。
関光夫さんのラジオの映画音楽番組の歴史は、長かったようで、
私が聞いていた、はるか前から、そして、その後も番組のタイトルも時間帯も変えながら続いていたそうなんですね。
私が、聞いていたのは、月1度、火曜日、夜8時から2時間の放送だったと記憶しているのですが。
映画音楽だけでなく、関光夫さんの話が、面白かったんです。
映画にまつわるエピソードが、楽しみで、勉強になることが多かったです。
放送時の、映画の話題をテーマにしていて、アカデミー賞発表の頃は、過去の受賞作品やノミネート作品を音楽と映画の話で紹介してくれるんです。
当時は、アカデミー賞の情報は、ほとんど無かった頃でしたからね。
そもそも、アカデミー賞自体をよく、わかって、いなかった頃だったしね。
ホラー映画の「オーメン」(1976年 リチャード・ドナー監督)がアカデミー作曲賞を受賞しているので、曲がかかったんです。
「オーメン」は、テレビコマーシャルだけで、十分怖かったですからね。
ジェリー・ゴールドスミスの曲も、怖かった。
【オーメン】
ホラー映画の代表格の「エクソシスト」(1973年ウィリアム・フリードキン監督)は、すぐテーマ曲を思い出しますが、実は、映画のオリジナル曲では、なくて、既成の音楽なんだと知ったのも、この番組だったと思います。
(マイク・オールド・フィールド『チューブラ・ベルズ』)
【エクソシスト】
アカデミー賞作曲賞にノミネートされて、遺作になった、「タクシードライバー」(1976年マーティン・スコセッシ監督)のバーナード・ハーマン。
レコーディングが終了して半日後に亡くなったと言う話も印象に残っています。
【タクシードライバー】
話題は、かつて、ヒッチコック映画の音楽と言えば、バーナード・ハーマンであったことから、
「サイコ」(1960年)の有名な、シャワーシーンの曲が、かかりました。
(キンキンキンキンと緊張感のある曲です。音楽というより、効果音みたいな曲です)
【サイコ】
「タクシードライバー」が観たいなあ、ヒッチコックの映画も観たいなあと関さんの話を聞いていると、いつも、どの映画も観たくなるんです。
【アルフレッド・ヒッチコック】
当時は、ビデオも無い頃です。
映画を臨場感で感じるには、映画音楽しかないですからね。
レコードも高いから、そんなに買えませんからね。
なので、『夜のスクリーンミュージック』は、本当に貴重な番組でした。
FMですからね、音質もいいので、毎回カセットテープに録音して
何本も、ありました。
「ロッキー」(1976年ジョン・G・アヴィルドセン監督)のテーマ曲も、この番組で録音して、高校受験生だったので、何度も何度も聴いて、気持ちだけ、やる気をもらいましたよ!
雑誌『FMレコパル』買って、事前に曲をチェックして、新品のカセットテープを準備してました。
ただ、ひとつ問題があって、数曲の映画音楽を連続してかかるんですね。
その、どれも録音したい曲ばかりの時に、全部が無事に録音できるか、途中で、カセットテープが切れてしまうか、緊張なんです。
ギリギリ曲が、おさまって、ホッとしたり、曲の途中でテープが切れて、慌てて、裏返して録音したりの繰り返しでした。
【地獄の黙示録】
新作映画のサントラの紹介するコーナーが、あったんです。
一番うれしかったのが、「地獄の黙示録」(1977年フランシス・フォード・コッポラ監督)でしたね。
雑誌「ロードショー」で何年にもわたって、毎月、写真や記事が掲載されるんです。
その度に、トラブルが発生して完成が遅れるというニュースを何度も見てましたからね。
本当に完成が待ち遠しかった映画でした。
1979年に未完成のまま、カンヌ国際映画祭に出品してグランプリを受賞したニュースは大きな話題でした。
アメリカの公開が1979年8月15日で、日本公開が東京では、1980年2月に先行ロードショーされて、地方の一般公開が、3月15日なんです。
ずいぶん、待たされました!
今では、考えられないですよね。
『日曜洋画劇場』でサントリーウィスキーのコマーシャルの映像が「地獄の黙示録」のワンシーンが見られるので、それだけのために、毎週見ていましたね。
コマーシャルだけで迫力が、すごいんです!
1979年の年末の番組内で「地獄の黙示録」のサントラをやることを『FMレコパル』で、見て大興奮ですよ!
オープニングのヘリコプターの音が遠くから聞こえてきて『ドアーズのジ・エンド』になり、マーティン・シーンが「サイゴン」って言うセリフがあったりと、いつものサントラと違うんですよ!
映画のワンシーン、そのままの音源なんですね。
映像を想像するんです
セリフ入りの『ワルキューレの騎行』(意味は、わからないですよ)
『スージーQ(フラッシュ・キャデラック)』の騒がしさと、余韻
『ド・ラン橋』の不思議な音楽と、遠くから聞こえる声、銃声、沈黙
もう本当に何度聴いたことか。
(後日、近所のレコード店で2枚組サントラLPレコードがあったんです。高くて、お年玉で買うつもりが、お正月に、既に売れてしまってたのは、ショックだったなあ)
高校を卒業して、一人暮らしの新生活が始まって、余裕なくて、番組を聞くことも、いつしか、なくなってしまいました。
でも、未だに「こんばんは、関光夫です。」の関光夫さんの、声は、今も忘れませんね。