今年のカンヌ国際映画祭はテレビで大きく取り扱い話題になっていました。

いつもは、ほとんど報道がないのに。

それは映画祭のコンペティションに日本映画が3作品が出品されたからなんですが。

深田晃司監督「ナギダイアリー」

濱口竜介監督「急に具合が悪くなる」

是枝裕和監督「箱の中の羊」

すごいことですよね。私もいつも以上に海外の反応が気になりました。

ずっと以前にも、カンヌ国際映画祭に関心が集まったことがありました。

大島渚監督「戦場のメリークリスマス」と今村昌平監督「楢山節考」の2本がコンペティションに出品された時です。

結果、「楢山節考」がパルムドールを受賞してさらに大きなニュースになりました。

1983年のことです。

もうそんなに経ったのかと懐かしく思い出しました。

今年は「急に具合が悪くなる」で女優賞を受賞したのも話題になりました。

こうした大人の映画が話題になることは良いですね。

そしてコンペティション参加作品のうち最初に劇場公開となったのが是枝裕和監督「箱の中の羊」です。

さっそく観てきました。



本作は製作発表の時から楽しみにしていたことがありました。
ひとつは是枝裕和監督としては珍しくSF映画であること。
そして主演がお笑い芸人の千鳥の大吾さんであること。
以前、是枝作品に韓国の人気女優ペ・ドゥナ主演「空気人形」(2009年)がありましたがSFというよりファンタジー系の不思議な映画でした。
今回は、最近の是枝作品共通の家族についての映画です。

【スタッフ】
監督・脚本・編集  是枝裕和
撮影  近藤龍人
音楽  坂東祐大

上映時間  125分
配給  東宝・ギャガ

【キャスト】
綾瀬はるか
大吾
くわ木里夢
清野菜名
寛一郎
余貴美子
田中泯


【あらすじ】
少し先の未来
建築家の音々(綾瀬はるか)と工務店社長の健介(大吾)の甲本夫婦は2年前にある事故により息子の翔を亡くしている。
ある日、こうした子供を亡くした親のために生前の子供のままのヒューマノイドを無償で提供するという通知を受け取り、甲本夫婦は悩んだ末にヒューマノイドを迎えることにする。
生前のデータにより、翔そのもののヒューマノイドに戸惑う2人であるが新しい生活が始まるが・・・


最初に物語の設定を知った時に思い出したのがスピルバーグ監督「AI」でした。
あの世界は、さらに未来の話で 、完全なSF映画でしたが、物語の展開としては、やはりヒューマノイドにとっては悲劇的なものになるのだろうかと思いました。
また、それを是枝監督が、わざわざ製作する映画なのだろうかというのが正直な観る前の印象でした。
ここ僅か数年のAI技術の進歩はすごいですからね。
特に映像では既に亡くなったスターがリアルに話したり動いたりしていますからね、それも簡単に作ることができるそうですからね。
(私は出来ませんけど)
それだけに本物と偽物の見分けができないフェイクニュースが社会問題になっています。
私世代からしたら、それ自体が既にSFの世界の話のようで怖いですね。
なのでスピルバーグ映画までは、無いにしても、本作で描かれている世界は、確かに『少し先の未来』には現実になる気がしました。


心配していたスピルバーグ映画の焼き直しの話ではなくて、しっかりと、いつもの是枝映画になっていました。
楽しみにしていた大吾さんの演技も自然体でよかったです。
ヒューマノイドの翔を連れて歩いていて警察官に不審者と勘違いされるエピソードがあり笑えましたが、大吾さんだからこそ成立したシーンでしたね。それ込みの是枝監督のキャスティングだったんでしょうか。
(ずいぶん失礼なこと言っていますね、大吾さん、ごめんなさい🙏)


映画の途中から翔くんがヒューマノイドであることを忘れていることがありました。
それは音々も健介も、そして健介の働く工務店の人たちも翔くんに対して、1人の人間として話し対応しているんです。
これは未来のヒューマノイドの物語ではなく誰もが体験する近しい人との別れに対しどうしようもできない後悔と許しを思う物語なんだなあと私は感じました。
当初、ヒューマノイドの翔に父親として受け入れることに抵抗があった健介の本音のわかった時、心打たれました。
大吾さん名演でした。


今年は是枝裕和監督、漫画、アニメ共に名作「ルックバック」を実写映画化もあり楽しみです。