Nicky Hopkins | ELPな日々

ELPな日々

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キース・エマーソンのように、
プレイヤーとして頂点を極め、
華やかな脚光を浴びて(反面バッシングもあっただろうけど)
願望の多くを実現、
年齢を重ねても活躍し続けるミュージシャンがいる一方で、

キースと同じく1944年にイングランドで生まれ、
ピアノを生業として、
しかしその人生の時間のほとんどをスタジオで過ごし、
アメリカのナッシュビルで50年の生涯を
そっと閉じたミュージシャンがいました。


ニッキー・ホプキンズ。


その名を知らない人がいても
必ずどこかで彼のピアノは耳にしているはずです。
クリスマスが近づくと街のどこかで聞こえてくる
ジョン・レノンの「Happy Christmas」
70年代に大ヒットしたローリング・ストーンズの「Angie」

順番付けなんて無意味なほど、
キースとはまったく別の次元で、
大好きなピアニストです。

「キーボード・プレイヤー」ではなく
あえて「ピアニスト」と。

キースのピアノがダイヤモンドなら、
ニッキーのピアノはこんぺいとうです。

目立たないようでいて、確かな存在感。
形も硬度もしっかりしていて
丸っこいようでいて丸くない、
どこにでも転がっていきそうでちゃんと自分の場所にとどまる。
いろんな色づけもできて、
たくさん集まるとシャラシャラときれいな音がする。
純粋な高品質のお砂糖からできていて、

どこか懐かしくて
人の心にポロっと入って来て
ほろりと甘く溶けていく。


多くの無名有名ミュージシャンとの
数え切れないほどのレコーディングセッションに参加していながら、
自分自身のものと言えるアルバムはたった3枚しか残さなかったニッキー。


私が初めてニッキー・ホプキンズと意識して聞いたのは
ジェフ・ベック・グループの
「Girl from Mill Valley」でした。



なんの気負いもない曲なのに、泣けてくるのはなぜなんだろう。


いっしょにプレイしたミュージシャン達の活躍を思うと、
ニッキーはもっともっと評価されるべき人だったのに、
難しい持病を抱えていて、
長期間ひとつのグループに所属したり
ツアーに出たりが無理だったのです。
その持病からのものだったのでしょう、
手術後の合併症で亡くなりました。

カリフォルニアのミルヴァレーを愛し、
ドリーと、猫と、缶詰のコレクションに囲まれて、
自分の時間の流れの中でしか生きられなかった。
そんなニッキーはいつも先にスタジオに入り、
多忙なミュージシャンがやってくるのを
漫画を読みながら気長に待っていたのかもしれません。

私が一番好きなニッキーの曲です。
「Waiting for the Band」



ギターはジョージ・ハリスンですね。
リンゴ・スターも名前を変えてニッキーのこのソロアルバムに参加してます。
あとR・ストーンズにいたミック・テイラー(当時カワイイ~)も
参加してるのがなんだかうれしい。

ニッキーのヴォーカルは、
ぜんぜんうまくはないんだけど、
だからこそ誰もの心にふんわり入ってくるのかもしれない。
この「The Dreamer」も。



なにもかもがうまくいかない時、
夜空を見上げると星は頭上に輝いているのに、
「神様はちっぽけな自分のことなんか見落としてるんだ。
もう夢見るのも疲れちゃった・・・・・」
なんて、そんなふうに辛いキモチ、
ニッキーはわかってくれてるんだね。

すごい人たちとプレイしてきたニッキーなのに、
一般人の私たちと同じ目線で語りかけてくれる。
そんな温かさを感じるのです。
そんな人柄がミュージシャンたちにも伝わり、
R・ストーンズをしてアルバムに
わざわざニッキーへの謝礼の言葉をクレジットまでさせたのでしょう。

ニッキーの訃報にどれだけのミュージシャンの胸が痛んだのでしょうか。

以前の記事に書いたかもしれませんが、
ずっと音楽から離れていた私は
ニッキーがすでにこの世を去ったことも知らず、
それを知った時あのぬくもりがもうどこにもないということが
寂しくてなりませんでした。

ビデオのコメントに誰かが書いていました。

「ニッキーは天使のためにプレイしていたんだ」


今はニッキーが神様と共にありますように。





ありがとう。

ニッキー。





Nicky Hopkins 主な参加セッション
* The Who, My Generation album (1965), "The Song Is Over" (1971), "Getting In Tune" (1971), "We're Not Gonna Take It [movie remix]" (1975), "They Are All in Love" (1975), "Slip Kid" (1975)
* The Kinks, The Kink Kontroversy (1965), Face to Face (1966), "Mr. Pleasant" (1967), "Village Green" (1968), "Berkeley Mews" (1968)
* Jeff Beck, "Blues De Luxe", "Morning Dew" (1967), Truth (1967), "Girl From Mill Valley", Beck-Ola (1969)
* Cat Stevens, "Matthew and Son" (1967), Matthew and Son (1967)
* Marc Bolan, "Jasper C. Debussy" (1966-7, lanzado en 1974)
* The Rolling Stones, "She's a Rainbow" (1967), "Sympathy for the Devil" (1968), "No Expectations" (1968), "Gimme Shelter" (1969), "Monkey Man" (1969), "Moonlight Mile" (1970), "Tumbling Dice" (1972), "Torn and Frayed" (1972), Exile on Main St. album (1972), "Angie" (1973), "Time Waits for No One" (1974), "Fool to Cry" (1976), "Waiting on a Friend" (1981)
* Led Zeppelin, "Rock and Roll" (1969)
* The Beatles, "Revolution" (single version) (1968)
* The Move, "Hey Grandma", "Mist on a Monday Morning", "Wild Tiger Woman" (todos en 1968)
* Jamming With Edward [jam session con Ry Cooder y algunos miembros de The Rolling Stones] (grabado en 1969, lanzado en 1972)
* Quicksilver Messenger Service, "Shady Grove", "Edward, the Mad Shirt Grinder", "Spindrifter"
* Jefferson Airplane, "Volunteers" (1969), "Eskimo Blue Day" (1969), "Hey Fredrick" (1969)
* John Lennon, "Jealous Guy" (1971), "Oh My Love" (1971), "Oh Yoko" (1971), "Happy Xmas (War Is Over)" (1971), Walls and Bridges album (1974)
* George Harrison, "Give Me Love (Give Me Peace On Earth)" (1973)[6]
* Joe Cocker, "You Are So Beautiful" (1974)
* L. Ron Hubbard, "The Mining Song" (1982), "The Banker" (1982)
* Dogs D'Amour, "Hurricane", "Trail of Tears" y "Princes Valium" from the Errol Flynn/King Of The Thieves album (1989)
* The Jayhawks, "Waiting for the Sun" y otras pistas del "Hollywood Town Hall" album (1992).