2017/12/9(土) 鹿児島滞在2日目
束の間のひとり自由行動で、まず向かいましたのは
鹿児島は日本の近代洋画の発展に貢献した黒田清輝や藤島武二、和田英作、東郷青児をはじめ、版画の橋口五葉、彫刻の新納忠之介、工芸の宮之原謙など優れた作家を多数輩出しています
こちら市立美術館では、こうした郷土作家の系譜コレクションを多数収蔵
その他19世紀の末葉から現代に至る西洋美術では、モネやピサロ、藤田嗣治、セザンヌ、カンディンスキー、屋外展示ではロダン、ブールデル、また薩摩切子・薩摩焼など薩摩の工芸品も鑑賞することが出来ました
“鹿児島を訪れたら鹿児島市立美術館!” というイメージがありまして、鹿児島の学会に行くことが決まった時から、当然のようにこちらの美術館見学を予定に組み込んでおりました。
高さ288cmの不思議な形のブロンズ像。オルフェとは、ギリシャ神話に登場する吟遊詩人のことです。
ブロンズ、215.0×76.0×115.0cm
フランス生まれのロダンは近代彫刻の父と称され、六人の群像による「カレーの市民記念像」は代表作の一つである。本像はその中心人物で、今まさに死に臨まんとする老人の姿が表現され、静かな表情に内なる決意が強く伝わってくる。このように、内面考察力に優れた人間像の創出がロダンの本領であった。
1階はグループ展等の貸展示場や市民アトリエ、
常設展、企画展は2階です。
カンディンスキーは30歳の時、印象派のモネの作品に感動し、突如画家の道を歩き始める。彼は抽象絵画とは色と形による作品と捉えていて、究極の理想は絵画による交響楽を作ることであった。
《二つの黒》は黒色の二つの台形が絵の背景をなし、白っぽい空間に様々な形が浮遊している。それらは不思議な静寂さを感じさせる真空の中で、相互に響き合い、まるで画面から音楽が奏でられてくるようで、まさしく彼の目指した音楽性の高い作品となっている。
油彩・キャンバス、89.0×130.0cm
素描も含めると250点にも及ぶ、1890年代後半から晩年にかけて描かれた「睡蓮」シリーズの一作。本作はその最初期の油彩画であり、日本庭園のあるジヴェルニーのモネ邸で制作された。抽象化の進む晩年の同種の作品よりも写生的で、大胆なタッチながら、花の瑞々しさや水面に反映する微妙な光の変化が見事に捉えられている。
1880年代以後、印象派のグループを離れたセザンヌは、明快な色彩と堅固な形態によって対象の存在感を描き出す独自の様式を見出した。本作は、地面以外は全体的に描き込みが少なく未完成と思われるが、大まかな輪郭線で空間の奥行と風景の特徴が表現された構図からは、対象の基本的形態を掴み取ろうとするセザンヌの制作意図が感じられる。
1910年以降に繰り返し描かれた、最愛の妻マルトをモデルにした浴室の裸婦像のうちの一作。日常のさりげない情景を柔らかな暖色が包み込む秀作である。ボナールは、ドニやマイヨールらとともに「ナビ派」の巨匠として知られる。1900年頃の一連の作品は、縦長で平塗りの日本版画の影響を顕著に示し「日本的ナビ」と呼ばれる。
今回の訪問では、常設展と企画展を鑑賞させて頂きました
常設展の展示室工事のため通常の半分の展示数でしたが、それでもなかなか見応えがありました
大混雑するような美術館ではありませんが、是非お時間に余裕をもって廻られてください
美術館の敷地は、島津氏の居住であった鶴丸城跡にあります
近隣には西郷銅像、鹿児島県立博物館、鹿児島県立図書館、鹿児島県歴史資料センター黎明館、かごしま近代文学館・かごしまメルヘン館などがあり、一帯は “かごしま文化ゾーン” を形成されていました
何れも建物の雰囲気に統一感があって、なかなかお洒落だと思いました
美術館は街中にあるので、観光がてら足を運びやすい場所にあるのも好印象でありました
美術鑑賞が好きな方も、そうでない方にもおすすめしたいです
印象派やフォービズム・キュビズム、戦時中、そして現代と一通り揃っています
時系列に見てゆくと、日本の洋画が発展していく様子がよく解りました
この鹿児島市立美術館の素晴らしさは、東京でも大阪でもなく、一地方都市である鹿児島市にあるというのが良いですね
次回の鹿児島滞在の際にも、再び訪れてみようと思っています
藝術は、いつもどんな時もわたくし達を優しく癒してくださいます
心が洗われた美しい午後のひととき・・
この日も素晴らしい作品に出合えて幸せでした