†漆黒の腐敗臭~ブラックアロマブラック~in the dark† -5ページ目

†漆黒の腐敗臭~ブラックアロマブラック~in the dark†

神様って思わず僕は、叫んでいた・・・

崖の上が崩落していたのだ。

登る人たちを上から見下ろす敵達の姿を見て愕然とした。

 

僕はとっさに駆け寄ろうとしたが、自分の足場の存在が危ういことに気づき、遊歩道を翔けだした。

遊歩道や橋の上では、覆面を被った兵が機関銃を持って集まりだしていた。空にはヘリコプターまでもが浮遊し、僕を視姦している。

後ろを振り返ることもできずに走った。

あと300メートるも走れば、先の橋の下へとたどり着けることが分かっていたからだ。

だがその想いとは裏腹に、正面からも追っ手がやってきたのである。

 

挟み撃ちの状態に陥った僕に小銃を向ける兵達。

先端恐怖症の僕は、手を挙げることしかできなかった・・・。

 

それからのことは、あまりに目まぐるしくて記憶が混乱している。

ヘリに乗せられ、僻地の真ん中を車で搬送されたこと。

車内では、日本語とは思えない言語で中東系の男2人が会話していたことくらいだ。

恐怖を通り過ぎて、地に足が付いていない気持ちの行き場を失っているうちに

僕は一軒のアパートへと連れ込まれた。

 

6畳ほどの間取りしかない一室で、7人の男が虚ろな表情でTV画面を眺めていた。

そこへ放り込まれた僕は、隠れて携帯で外部と連絡を取ろうと試みた。

所持していることがバレるのは危険だと、本能で察したからである。

 

そんなタイミングの悪いときに、1人の長身の男が部屋へ入ってきた。

とっさに後ろ手で携帯をしまい、対峙する。

男は、頭に僧侶が付けるような籠を被っていた。

籠には2列に3つずつの穴が空いているが、正直、息苦しそうだと感じた。

男は僕に向かって言葉を発した。

「この籠を被って、世界を見通してみるといい。」

 

わけがわからなかったが、逆らうことができずに籠をかぶせられた。

あまりの異臭に籠にてを突っ込んで、内側から口元を覆ってしまった。

が、気がつくと、別の施設へと運ばれ、白装束に着替えさせられていた・・・。



続く。