†漆黒の腐敗臭~ブラックアロマブラック~in the dark† -3ページ目

†漆黒の腐敗臭~ブラックアロマブラック~in the dark†

神様って思わず僕は、叫んでいた・・・

8ヶ月の空白を経て、あの長い坂道の途中で咲き誇る金木犀の木の下に、

僕は戻ってきた。いろいろな想いを胸に、この小説を完成させることが使命だと

頑なに信じて・・・。


「題名のないつぶやき会」


優しい嘘…。あの頃から続く嘘。
それもつき通せば、ホントになるって信じてたのは、”私”に妹ができた時から、彼女が高校に入るまでの間だけだった…。
今ではもう、あの優しい日々には戻れない。だってそれじゃあ、私が僕で在るために創り続けたものが失われるから。


何かが噛み合わない-。
そう感じたのは、いつからだっただろう。私にとって香澄は、ただの妹だった。そう、あの眼差しに魅入られる前までは…。
ものごころがついた頃から第二次性徴を迎えるまでの私は、なにひとつ疑問に思っていなかった。


自分の姿がオトコであることを-。

クラスメイトの女子から向けられる眼差しが、異性を見る目であることも。
よくある羨望の眼差しだと割り切ってきたけど、香澄のソレからは逃れることができなかった…。
なぜなら、あの娘の前ではずっと、”兄”である田中安芸を演じてきたからだ。


与えられた役割を演じることには慣れている。
そのフェイトに逆らって誰一人幸せになれないことは、出生の秘密を知る前から解っていたことなのだ。だから私は香澄に対して兄として接してきたし、父母にたいしては、安芸として甘えた。


そんな張り詰めた覚悟を知るのは、誰一人としていない。
それでよかったのは 、あの秋の夕暮れまでだった…。


金木犀が咲き誇るあの坂の上で、私は、香澄に告白されたのだ。
そう、愛の告白を…。



私が通う医学部への坂道。そこで運命の歯車が回りだしたのだ。
まるで、2人、いや3人を踊らせる狂詩曲のごとく。
救済のノクターンは奏でられない・・・。
この螺旋律から逃れるために、私は、嘘を重ねるしかなかった。
それでも私は、誰かがいなくなるのが許せなかったからだ…。


あまりの出来事に、思考回路が停止した。だからいつもと同じように、香澄に”右手”を差し出すことしかできなかった…。握り返す彼女の左手の柔からさを感じたのは、この時が初めてだった。 芽生えた感情の在り処。それを知ってはならない。
そんな気がした…。


この出来事を相談できるのは他でもない、実の父親である、小名教授にだけだった。



続く・・・。

"侵略の翼"こと、我がTodayが、先日転成した。
繰り返されるリーンカーネーション。辿りつけないニルヴァーナ…。

哀しみに満ちた大地を生き抜くための相棒である堕天死を、見捨てないでいてくれる彼女には敬意をもって接していきたいんだ。

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そんな君には、堕天死としてではなく、ただ一人の僕として、接したい。だから僕は、ただ、ハンドルを握るんだ。
だってそれが、君と僕の間に成立する、唯一の言語なのだから。

「緩和時間って長いよね?」 彼女はそう言った。


ここはとある超電導磁石の中心、通称、SCM。

僕は彼女と寄り添いながら、アルファ状態とベータ状態の間を行き来していた。

その占有数の差は微々たるものではあるが、励起するためには、それ相応の代償が必要である。


そう、彼女が輝きを増すために、僕を介して相互作用を伝えることが不可欠だったのだ。

永遠に続く照射。

緩和を顧みずたたき続けられる磁化ベクトル。

僕に休息はないのだ。

彼女がとなりで眠っているときですら、照射は止まらない・・・。

ユビキタスに存在する僕とは違って、彼女のナチュラルアバンダンスは稀少なのだから。


だけど、僕を使って彼女が輝けるのであれば、それでいいとも思う。

だってそれが、”想いのコンポジットパルス”なのだから。


――編集後記――

わかる者はわかる、さらに解るものは突っ込みたくなる。

ミクロからマクロまで―。

量子電磁気学理論から、宇宙論まで。

世界を記述する相互作用の視点からながめるヒトの性ってのは、そんな関係性に似ているのかもしれない・・・。

解らなくても、わかってくれればいい。

そんな笑える瞬間ってやつが、僕にはあるんだ。