亜鉛は、一部の食品の中に含まれ自然界に存在する必須ミネラルである。他の食品に添加され、サプリメントとして販売されている。亜鉛は、風邪薬として販売されている多くの風邪用トローチや一部の市販薬にも含まれている。
亜鉛は、細胞代謝のさまざまな側面に関係している。亜鉛は、約100種類の酵素の触媒活性に必要で 、免疫機能、蛋白合成 、創傷治癒、DNA合成および細胞分裂に重要な役割を果たす。また、妊娠期、小児期、および青年期の正常な成長と発達も支え、適切な味覚や嗅覚に必要である。体には特別な亜鉛の貯蔵システムがないので、亜鉛を毎日摂取することは定常状態を維持するために必要である 。
推奨摂取量
米国科学アカデミー医学研究所の食品栄養委員会(FNB)が設定した食事摂取基準(DRIs)には、亜鉛や他の栄養素の推奨摂取量が提示されている[2]。DRIは、健常人の栄養摂取の計画と評価に関する一連の基準値に対する総称である。これらの基準値は年齢や性別ごとに異なり、次のような項目がある。
- 推奨栄養所要量(RDA):ほとんどすべての(97~98%)健常人が栄養所要量を満たすのに十分な平均1日摂取量。
- 適正摂取量(AI):RDAを設定するためのエビデンスが不十分である場合に示され、十分な栄養が確保できると推定される値に設定されている。
- 許容上限摂取量(UL):健康上の有害作用を引き起こすとは考えにくい最大1日摂取量。
亜鉛の現在のRDA値を表1に示している。0~6カ月の乳幼児については、健康な母乳栄養児における平均摂取量に相当する亜鉛のAI値をFNBが定めている。
表1:亜鉛の推奨栄養所要量(RDA)[2]
表1:亜鉛の推奨栄養所要量(RDA)
年齢 |
男性 |
女性 |
妊婦 |
授乳婦 |
生後0~6(カ月) |
2 mg* |
2 mg* |
|
|
7~12(カ月) |
3 mg |
3 mg |
|
|
1~3(歳) |
3 mg |
3 mg |
|
|
4~8(歳) |
5 mg |
5 mg |
|
|
9~13(歳) |
8 mg |
8 mg |
|
|
14~18(歳) |
11 mg |
9 mg |
12 mg |
13 mg |
19(歳)以上 |
11 mg |
8 mg |
11 mg |
12 mg |
*適正摂取量(AI)
亜鉛の摂取源
食品
さまざまな種類の食品が亜鉛を含んでいる(表2)]。牡蠣は、その他の食品と比べて1食当たりに含まれる亜鉛の量が多いが、米国人の食事に含まれる大半の亜鉛を提供しているのは、赤身の肉や鶏肉である。その他の良好な供給源として、豆類、ナッツ類、一部の魚介類(カニやロブスターなど)、全粒穀類、栄養強化朝食用シリアル類、および乳製品などが挙げられる。
表2:亜鉛源の食品群 [11]
表2:亜鉛源の食品群
食品 |
1食当たりの
含有量(mg) |
%DV* |
牡蠣フライ、3オンス |
74.0 |
493 |
牛のチャック肉の蒸し煮、3オンス |
7.0 |
47 |
調理済みアラスカキング蟹、3オンス |
6.5 |
43 |
網焼きにした牛肉パティ、3オンス |
5.3 |
35 |
朝食用シリアル、亜鉛DVの25%強化、3/4カップ |
3.8 |
25 |
調理済みロブスター、3オンス |
3.4 |
23 |
調理済み豚の腰肉切り身、3オンス |
2.9 |
19 |
缶入りベークドビーンズ、プレーン
またはベジタリアン用、1/2カップ |
2.9 |
19 |
調理済み鶏もも肉、3オンス |
2.4 |
16 |
低脂肪フルーツヨーグルト、1カップ |
1.7 |
11 |
乾燥カシューをローストしたもの、1オンス |
1.6 |
11 |
調理済みヒヨコ豆、1/2カップ |
1.3 |
9 |
スイスチーズ、1オンス |
1.2 |
8 |
水で調理したインスタントのオートミール、プレーン、1袋 |
1.1 |
7 |
低脂肪または無脂肪ミルク、1カップ |
1.0 |
7 |
乾燥・ローストしたアーモンド、1オンス |
0.9 |
6 |
調理済みインゲン豆、1/2カップ |
0.9 |
6 |
ローストした鶏の胸肉、皮を取り除いたもの、1/2個 |
0.9 |
6 |
チェダーまたはモツァレラチーズ、1オンス |
0.9 |
6 |
冷凍したグリーンピースを茹でたもの、1/2カップ |
0.5 |
3 |
調理したヒラメまたはシタガレイ、3オンス |
30.3 |
2 |
*DV = 1日摂取量。FDAは、消費者が食事全体における製品の栄養素含有量を比較するのに役立つようDVを設定した。亜鉛に対するDVは成人および4歳以上の小児で15 mgである。ただし、亜鉛強化食品でなければ、食品ラベルに亜鉛量を記載する必要はない。DVが20%以上となる食品は高栄養源と考えられる
米国農務省(USDA)の栄養素データベースウェブサイト[11] では、数多くの食品の栄養素含有量を表示しており、亜鉛を含む食品を網羅している。
サプリメント
サプリメントには、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛など、数種類の形の亜鉛が含まれている。亜鉛元素の比率は、種類によって異なる。たとえば、硫酸亜鉛では、約23%が亜鉛元素で構成されている。したがって、220 mgの硫酸亜鉛には50 mgの亜鉛元素が含まれる。亜鉛元素の含有量は、サプリメント容器のSupplements Factsパネルに表示されている。吸収、生物学的利用能、または忍容性の点で亜鉛の形によって相違が生じるかどうかは、研究では明らかになっていない。
標準的な錠剤とカプセルに加え、亜鉛含有風邪用トローチにはサプリメントとラベル表示されているものがある。
亜鉛欠乏症
亜鉛欠乏症の特徴は、発育遅延、食欲不振、および免疫機能障害である。重症の場合、亜鉛欠乏症は脱毛、下痢、性的発達の遅延、インポテンス、男性の性腺機能低下、および目と皮膚の病変を引き起こす。体重減少、創傷治癒遅延、味覚障害や精神的無気力も起こる場合がある。これらの症状の多くは非特異的で、多くの場合、その他の健康状態に関係している。したがって、亜鉛欠乏症かどうかを確認するには、検診が必要である。
亜鉛と健康
免疫機能
重度の亜鉛欠乏症は免疫機能を抑制し、軽度から中程度の亜鉛欠乏症でも、マクロファージ・好中球の機能、ナチュラルキラー活性、および補体活性を低下させる可能性がある。生体では亜鉛によりTリンパ球が誘導され、活性化するよう求める。亜鉛が少ないと、マイトジェンに対するリンパ球増殖反応が低下したり、その他免疫機能が低下するが、こうした変化は亜鉛の補充により改善される。亜鉛補充で改善できる免疫に対するその他悪影響が示されている。
創傷治癒
亜鉛は、皮膚や粘膜の状態を良好に保つのに役立つ。慢性下腿潰瘍の患者では、亜鉛代謝が異常で、血清中亜鉛濃度が低く、臨床医は、皮膚潰瘍をしばしば亜鉛のサプリメントで治療する。系統的レビューの著者は、血清亜鉛濃度が低い患者の下腿潰瘍の治療に硫酸亜鉛が有効であると結論づけた。
下痢
急性下痢は、発展途上国における小児の高い死亡率と関係している。亜鉛欠乏症は、免疫反応の変化を引き起こし、特に小児において下痢を引き起こす感染症などに対する易感染性を亢進させる。
世界保健機構およびユニセフは、現在、小児期の急性下痢症の治療に短期亜鉛補充(10~14日間、1日に亜鉛20 mg 、6カ月未満の乳児には10 mg)を推奨している。
亜鉛過剰摂取による健康上のリスク
亜鉛の毒性については、急性および慢性のいずれもが発生する。大量の亜鉛摂取による急性の副作用は、悪心、嘔吐、食欲不振、腹部痙攣、下痢、頭痛などです。ある症例報告で、グルコン酸亜鉛4 g(亜鉛元素570 mg)摂取から30分以内の重度悪心と嘔吐が取り上げられている。1日に150~450 mgの亜鉛を摂取すると、銅含有量の低下、鉄機能の変化、免疫機能の低下、および高比重リポ蛋白の濃度低下などの慢性的影響がみられた。銅代謝のマーカーである、銅含有酵素の減少が、1日に約60 mgとやや大量の亜鉛を最大10週間摂取した結果報告されている。AREDS研究で使用した亜鉛用量(平均で、酸化亜鉛の形で1日に80 mgの亜鉛を6.3年間)は、泌尿生殖器系に起因する入院の有意な増加と関係し、慢性的な亜鉛の大量摂取が、尿路系の生理機能の一側面に悪影響を与える可能性が提起される。
米国科学アカデミー医学研究所の食品栄養委員会は、亜鉛の上限摂取量(UL)を定めている(表3)。UL値を越える長期摂取は、健康に悪影響を与えるリスクを増加させる。UL値は、薬物治療で亜鉛を摂取する患者には適用されない。ただし、これらの患者は、健康上の悪影響について医師の管理下に置かれる。
表3:亜鉛の許容上限摂取量 (UL) [2]
表3:亜鉛の許容上限摂取量
年齢 |
男性 |
女性 |
妊婦 |
授乳婦 |
生後0~6(カ月) |
4 mg |
4 mg |
|
|
7~12(カ月) |
5 mg |
5 mg |
|
|
1~3(歳) |
7 mg |
7 mg |
|
|
4~8(歳) |
12 mg |
12 mg |
|
|
9~13(歳) |
23 mg |
23 mg |
|
|
14~18(歳) |
34 mg |
34 mg |
34 mg |
34 mg |
19(歳)以上 |
40 mg |
40 mg |
40 mg |
40 mg |
亜鉛と健康的な食事
米連邦政府が発行する「アメリカ人のための食生活の指針2010」では、「栄養は主として食事から摂取すべきである。栄養分を豊富に含む食品(多くは未加工品)には、サプリメントに含まれることの多い必須ビタミンやミネラルだけでなく、食物繊維や体によい天然成分も含有している。・・サプリメントは・・特定の状況下で特定のビタミンやミネラルの摂取量を増加させるには有益と考えられる」と述べている。
健康的な食事に関する詳細はDietary Guidelines for Americans(アメリカ人のための食生活指針)(英語サイト)と米国農務省の食事の指針システム、MyPlate(私の食事)(英語サイト)を確認すること。
「アメリカ人のための食生活指針」では健康的な食事を次のように述べている。
- さまざまな果物、野菜、全粒穀物、無脂肪もしくは低脂肪ミルクおよび乳製品の積極的な摂取が重要。
- 全粒穀類や乳製品は、良好な亜鉛の供給源である。多くのすぐに食べられる朝食用シリアルは、亜鉛で強化されている。
- 赤身の肉、鶏肉、魚、豆類、卵、ナッツ類も摂取すること。
- 牡蠣、赤身の肉および鶏肉は、亜鉛の優れた供給源である。ベークドビーンズ、ヒヨコ豆やナッツ類(カシューナッツやアーモンドなど)も亜鉛を含んでいる。
- 飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロール、塩分(ナトリウム)および添加糖質の摂取を少なくする。
- 1日に必要なカロリー摂取量を超えないこと。
-
味覚を正常に保つ
-
抗酸化作用
-
髪や肌の健康維持に
-
生殖機能の改善
- うつ状態の緩和
などの効果などもあります。分かりやすいところのURL貼っておきます詳しくは↓
https://cp.glico.jp/powerpro/citric-acid/entry75/
亜鉛に関しては食生活では意識しないと摂取できないのでサプリメントで摂取しています。(1粒10mg)
亜鉛は摂取したうちの30%程度しか吸収されません。
10㎎の亜鉛を摂取しても、3㎎程度しか吸収されないようです
https://point-g.rakuten.co.jp/healthcare/articles/2019/supple_zinc/
食べ合わせとしてはクエン酸が知られています。
またある研究によると、ニンニクとタマネギにも、亜鉛の吸収を高める効果が示されているようなので一緒に摂取することが吸収を助けてくれるようです。
クエン酸に亜鉛=牡蠣にレモン
食べたい
美味しい食べ物なら簡単に摂取できますね
ビタミンC+亜鉛
の食べ合わせもビタミンCが亜鉛の吸収を助けてくれるようです。
亜鉛の吸収を阻害するもの
×タンニン(コーヒー)は亜鉛の吸収を阻害します
亜鉛だけでなく鉄分、ビタミンB、ビタミンCの吸収も阻害するので注意!!!
カルシウムと鉄
×カルシウムと鉄も過剰に摂取すると亜鉛の吸収を阻害するようです。
亜鉛も摂取しにくい。
サプリメントで補いながら食事で摂取していきたいですね
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回もお楽しみに