今日(2日)、TKCの研修に出席しました。

テーマは「企業防衛」です。


企業防衛、要はリスク管理。

もっとハッキリ言えば、社長に万一のことがあった際、

会社に保険金が入るようにしておく、ということです。


リスク管理=保険 みたいな考え方が好きになれないんですよ。

だから今日の研修も、自分、最初から「斜」に構えるところが

ありました。


で、序盤は実際グダグダでした。

前フリが長い。販売実績に基づく表彰とか、研修の場で何も

いいじゃないですか(笑)。


ただ、メインである税理士の講演。

これはなかなかのものでしたね。

静岡県の稲葉孝税理士です。

http://www.inabakaikei.net/


内容そのものは、言葉で示すとたいしたことではありません。


「(保険に)入ってください」と素直に言う。

入ってもらったらお礼を言う。

その他、技術的な話(健診などを進めてしまう、など)。


しかしこれらは、税理士の「常識」をいい意味で逸脱して

います。


「常識」というのは、

「税理士たるもの、保険営業などしてはいけない」

ってやつ。


これ、確かにおかしいですよね。


言わんとすることは、

「保険を売ることが目的になってしまうと、顧客にむしろ

不利益を与える」

ということ。


もちろん、不必要な保険に入れてはいけません。

営業マンの顔が前に出すぎて、顧客から嫌われては

もっといけない。


しかし、企業防衛は必要なことです。

少なくとも…

「保障を買う」という、本来の目的に基づいて保険を考える

ことはできるようになる。これは大きな意味を持ちます。


法人契約の保険、多くは「節税」です。法人税の節税。

代表的な商品が逓増定期保険、長期平準定期保険、さらには

ガン保険や長期傷害保険もあります。


でもこれらの商品、長期的に見ればマイナス効果に

なってしまいます。

100の保険料を払って、来年納める法人税が40減るだけ。

解約したときに80ぐらいは戻ってきますが、それでも

「何もしない場合に比べ、キャッシュフローは悪くなる」

ことになります。


保険は「保障」のために使うべきツールです。

そして保障のニーズは、個人より法人のほうが高いはずです。


ご主人が亡くなったら家計は困りますが、子供が成人する

までのことです。遺族厚生年金だってあります。


しかし中小企業は、社長の顔で商売しています。

社長が亡くなったら、事業そのものが多大な影響を受けます。

社員や取引先の人たち、その家族の方々、多くの人に

マイナスの影響が出ます。


必要なものを売るのは何もおかしくない。

税理士の「常識」など意味を持ちません。


必要だから勧めるんですよ。

いや、「勧める」という言葉は違う。


顧問先を思えば思うほど、

「保険に入ってほしい」と思う。

だから「入ってください」になる。

入ってくれたら「ありがとう」になる。


必要なものなのだから、大事な人には持っていてほしい。

そういうことですよね。


稲葉税理士は、所員の教育にも熱心で、保険販売においても

いろいろ戦略(所内ミーティングなど)を立てています。

戦略を立てられるのはアイデアマンだからではない。

「保険が必要なのだから入ってほしい」

その思いが戦略を生み出すのです。


「肉親として接する」という言葉をよく使われていましたが、

これはまさにコンサルティングの極意です。


思いは所員に伝わります。顧問先にも伝わります。

今日、講演を聞いただけの私にも伝わりました。

これは信頼関係構築のための最重要ポイントです。


ただですね…

今日の講演を「自分のものにする」のは簡単ではないでしょうね。

自分も含めて。


稲葉税理士自身、先代(父親)の急死によって大変な思いを

されました。顧問先でも同様のことが相次ぎ、企業防衛の

必要性を体感しています。


逆に言えば、「体に染みついた思い」がないと、稲葉税理士と

同じことはできない。真似事だけやって、結果がついてこない

のではないでしょうか。


私が感銘を受けたのも、言葉の背後にある「思い」を感じた

からです。

今日の稲葉税理士と「一字一句同じこと」を他人が話しても、

説得力はないでしょうね。


思いが伝わらなければ、顧客は保険に加入しません。



そう考えると…


保険代理店って商売、どうなんでしょうね。


会計事務所を媒体とした販売、よくやってますけど…


税理士が「思い」を持って動いてくれない限り、結果など

出ませんよ。


私が所属していた会社も、まさにこの「媒体営業」でしたが~


代理店から見て、直接のお客様ではないから「思い」がない。

多少あったとしても、間に立つ税理士によって薄まってしまう。


うまくいくはずなかったんですね。