「社会保障と税の一体改革」ってことで、消費税増税が

意見として明記されるようですね。


う~む…


個人的には、消費税増税には賛成…でした。

今はちょっと変わってきているので過去形。


このブログでも前に書きましたが、「直間比率是正」という

方向での消費税増税には反対です。

直接税比率の高さは、論拠になりえないから。


ただし年金との組み合わせで論じるのは大いにアリです。

国民年金保険料や基礎年金拠出金は、消費税よりも

タチが悪い「人頭税」だから。人頭税を廃して消費税を

上げる。これは間違いなく改善です。


そういう意味で、「社会保障と一体」で検討する方向は

評価できるんですけどね。


しかしながら昨今の議論は、実に「狭い領域」の話に

なっているように思えます。


財政赤字が大きいから、増税を抜きにした議論は無責任、

という論調が強くなりすぎているんですよね。


試算すると、2015年にはお金が足りなくなるから、消費税を

上げよう、って感じ。


もちろん、無定見なバラマキは絶対にいけません。


しかし「消費税を上げるべきかどうか」という話は、お金の

帳尻合わせに組み入れるものではないはずです。


もっとも、有識者と言われる方々も、消費税率アップの

影響をまったく考えていないわけではない。ただ、97年の

景気悪化と消費税率アップの因果関係を論ずるばかり。


意味ないですよ。この議論。


97年の景気悪化については、簡単に答えは出ません。

そもそも答えが出たところで~

今とは経済状況が違うでしょ?


さらにそもそも~

景気と消費税の関係が明らかになったところで、それが

どうしたっていうんですか?


「社会保障と税の一体改革」ですよね?

長期的なビジョンのもとで検討すべきことじゃないんですか?


消費税率を上げたら、景気に影響するに決まっています。

しかし長期的に見て、メリットもありうる。それを明示して

くれれば、景気への影響も軽減される可能性だってある。


この「長期的視点」が全然ないんですよね。


消費税率を上げることで、国民年金保険料や基礎年金拠出金

が下げられるかもしれない。そうなれば、厚生年金保険料も

抑制できる。あるいは、給付がある程度の水準で維持できる

かもしれない。


さらにいえば~

年収が一定以上ある高齢者への年金給付を抑える、って

言ってますよね。


これ、「言うは易し、行うは難し」ですよ。


高齢者の収入をどうやって捕捉するんですか。

高齢者だからサラリーマンじゃないですよ。

まさか「給与所得者である高齢者だけターゲットにして、

自営で稼いでいる人はノータッチ」じゃないでしょうね。


「クロヨン」なんていう言葉もあるぐらい。

所得の捕捉は、古くからの問題です。

これが難しいから、国民年金保険料は定額の「人頭税」に

なってしまったわけですよ。


つまり、「所得に応じて年金カット」を言うのであれば、


納税者番号制度によって自営業者等の所得捕捉率を上げ、

国民年金保険料も所得に応じた負担にする


ということにも言及しないとおかしい。

せめて

「所得捕捉率の上昇による所得税増収が見込める」

ぐらいの話はなければおかしい。



繰り返しになりますが。

「お金が足りないから消費税」

じゃダメなんですよ。

これじゃ改革でもなんでもない。ただの帳尻合わせ。


「一体改革」とか仰々しいネーミングなんですから~

「長期的ビジョンに則した改革案」を示してもらいたい

ものです。