前回と重複しますが、消費税を論じてみます。


消費税は、導入時も増税時も、所得税減税とセットでした。

論拠は「直間比率是正論」。


これは実は暴論。

というか、ズレてます。


確かに日本の直接税比率は高かった。

しかし所得税が重かったわけではない。

法人税収が多かっただけの話です。


「所得税が重すぎるから消費税を上げるべき」

というロジックに、なんら根拠はないんです。



これを20年前から堂々と提唱していた学者さんは、

有名どころで一人だけいるんですけどね。

今、政策研究大学大学院の学長やってるH氏。


残念ながら、H氏の論理はここから

「消費税は上げるな。所得税を重くしろ。」

っていうところに行き着いてしまう。

H氏とお話したこともありますが、まともな議論が

できない人なんですよね。性格的に。

10年以上前だから、70歳近くなった今は多少

変わったかもしれませんが…

いや、変わらないな、あの人は。


それはともかく…

「直間比率是正論に反対する立場」の旗手が

H氏だったがために、所得税減税に疑問を呈すると

「変人」と見られる向きがありました。

私自身、そういう扱いを(会社内でですが)受けたことが

あります。


直間比率是正論はおかしい

= 消費税増税はおかしい


と解釈される土壌が作られてしまったことは、

実に情けないことです。


消費税増税をして、「国民年金保険料」「基礎年金拠出金」

といった「人頭税的負担」を減らすことには、十分妥当性が

ある。


要は、

「消費税と所得税をセットで論じることがおかしい」

ということなんですよ。

消費税とセットで論じるべきは、所得税ではなく年金です。



消費税を財源とした最低保障年金に、私が基本的に賛成の

立場をとっているのは、このような考えがあるからです。

「社会保障と税の一体改革」

は、「消費税と年金をセットで論じる」という意味で、正しい

方向と言えます。



しかし…


遅すぎたかもしれませんね。


消費税率は14年も前に5%になっている。

それに「上乗せ」をして最低保障年金の財源にしようと

すると、とんでもない税率になる。

財政赤字はものすごく拡大した。

15年前、平成8年度予算(当初)の国債発行額が20兆円

を超えたとき、「これは大変なことになった」と大騒ぎした

ものですが、今はその倍以上の国債が発行されています。

消費税収を「年金だけに使う」というのは、現実性がない

かもしれません。