あるペットの遺言 2 | イッピーの独り言

イッピーの独り言

ボクの名前はイッピー。わんこのビション・フリーゼです。ボクが見たことや聞いたことを書きたいと思います。少し不思議なお話もたくさん出てくるかもしれないけど、みんなが気に入ってくれるといいな。

みんな元気ですかラブラブ

 

きのうの続きだよグッド!

 

その子のお父さんはヨーロッパの

 

ある国にお仕事で住んでいた。

 

お父さんはその国に行くことが

 

決まってからすぐに結婚を決意。

 

で、一度日本に帰ってきて結婚式を

 

終えて次の日にすぐに二人で

 

また飛んで行った。

 

若いお母さんは最初はあこがれの

 

国で見るもの聞くもの

 

珍しくて毎日が楽しかった。

 

でも昼間は旦那様はお仕事。

 

しばらくたつといつも彼女は

 

ひとりでさみしかった。

 

だからやさしい彼は彼女に子犬を

 

プレゼントすることにした。

 

ある日その街の大きな川のほとり

 

にあるペットショップに

 

二人で出かけた。

 

その店にはたくさんの子犬がいた。

 

ほかの子より大きくて

 

いじめっ子みたいな子。

 

お腹がすいたのか声の限りに

 

吠えてる子。

 

隅っこでじっとしてる子。

 

でも一匹の小さなペキニーズの

 

子犬がコロコロと歩いて

 

寄って来て二人に甘えた。

 

彼女の手をぺろぺろなめて

 

そばを離れない。

 

目が会うと僕を連れて行ってと

 

うったえているようだった。

 

彼女は迷わず彼にこの子がいい

 

と言って彼に買ってもらった。

 

それから彼女は子犬と二人で

 

どこにでも出かけた。

 

自分が通い始めた外国人のための

 

語学の学校にも連れていった。

 

クラスでもその子犬は彼女の

 

上着のなかで抱っこされて

 

毎日おとなしく授業が終わるのを

 

じっと待っていた。

 

20名くらいいる同級生や先生にも

 

みんなの人気者だった。

 

さっそく彼女のニックネームは

 

「小さな子犬」になった。

 

その国では「小さな」って

 

言うのは可愛いって意味なんだ。

 

おかげで彼女も人気者になった。

 

その子犬のおかげで彼女は

 

とても楽しく過ごした。

 

数年の時が経ち、二人は

 

そのペキニーズを連れて

 

日本に帰って行った。

 

日本に帰ったあとで二人に

 

初めての赤ちゃんが誕生した。

 

そのペキニーズは赤ちゃんと

 

一緒によく遊んだ。

 

坊やが歩けるようになったころ、

 

坊やはその子の尻尾を

 

ふんずけたりしてた。

 

もちろんわざとじゃないよ。

 

よちよちあるきだから尻尾を

 

踏むのはしかたないんだ。

 

そのペキニーズは赤ちゃんに

 

無邪気にいじめられても、

 

背中の毛をわし掴みにされても、

 

しっぽをおもちゃにされても、

 

少し痛いことをされても決して

 

坊やを咬まないって決めていた。

 

お父さんとお母さんの大切な

 

初めての赤ちゃんだって

 

ちゃんと分かっていたんだ。

 

そしてその子犬はあの5月の

 

暑い日にお母さんに抱かれたまま

 

お母さんの腕の中で死んでしまった。

 

それは初めて子犬とお母さんが

 

あの川のほとりのペットショップで

 

会った時みたいだった。

 

あの日もその子はお母さんの腕に

 

初めて抱かれていた。

 

子犬はお母さんの腕をやっと

 

自分だけのものに取り戻したんだ。

 

二人はあの子はきっと僕の役目は

 

もう終わったと感じた

 

のかもしれないねと話し合った。

 

確かに赤ちゃんのほうに特別な

 

注意が向けられるのは仕方がない。

 

でも決してその犬の事を

 

忘れたわけではなかった。

 

若い二人はその子の死をいたんで

 

しばらくは毎日涙を流した。

 

その時二人は心の中で言った。

 

いつかきっとまた戻ってきてねって。

 

二人はその後もう一人男の子に

 

恵まれ二人の子供を立派に育てた。

 

二人の子供は大きくなって

 

たくましい社会人になった。

 

そして子供たちが巣立って

 

いってしばらくしたある日

 

心やさしい子供たちは、

 

また二人だけに戻った夫婦に

 

子犬をプレゼントしたんだ。

 

その子犬の種類は違うけど

 

可愛らしいしぐさや表情や性格が

 

あの頃のペキニーズそっくり。

 

二人は確信した。

 

そして・・・

 

心の中でつぶやいた。

 

「あー、また帰ってきてくれたんだ」

 

「今度はたくさん長生きしようね」って。

 

僕にはもちろんわかるのさ・・・

 

その子があの時の子だって事がわんわん

 

 

イッピーの独り言

また3人で暮らせて良かったねドキドキ