『狗村』(陈曼奇)を読みました。
ホラーっぽいタイトルですが、ミステリー作品です。
久しぶりに紙の本です。
人物相関図、3つの殺人事件の絵が描いてあるポストカード、タイトルと絵の名刺大カードが2枚がおまけについていました!
(人物相関図、あろうことに誰が誰を殺害したのか矢印でしっかり表示されているので、最初に見ないように注意!しかも主要人物の名前が誤記・・)
あらすじ
主人公は大学生の沈辰渓。卒業を目前にプロポーズをしようとしていた恋人、赵希迪が行方不明になってしまいます。
連絡がとれず、彼女の故郷である山奥の小さな集落まで探しに行くのですが、そこで彼はなんと3つの殺人事件に遭遇してしまうのでした。
土砂崩れで道が封鎖され、外部と連絡が取れない状況下、彼は警官や村人たちと協力しあいながら事件の真相に迫っていきます。
ぞわぞわする雰囲気
その山村までは電車を30時間以上乗り、そこからバスで延々と。
途中バスが犬を撥ね車内に血の匂いが立ち込めたり、村内には野良犬が群れをなしていたり、最初から因習村的な不気味な空気満載です。
山頂の狗神庙に住む高齢の犬神奶奶の薄気味悪さ、村独特の葬儀の儀式、宋時代の古式ゆかしき建築物、狗王である黒犬の黒风。
そして、お約束のように土砂崩れで村は封鎖されてしまいます。(お正月ぐらいに読んだ「鵜頭川村事件」を思い出してしまった!)
なんといっても殺害方法の凄惨さといったらもう・・ホラー以上にホラーですよ!
全体的に、じめっとした変な匂いがしてきそうな嫌な空気が充満していて、終始重苦しくてなかなか読み進められませんでした。
男尊女卑問題だらけ!
気味の悪いミステリーではありますが、社会問題もしっかり描かれています。
女性作家だけあって、男尊女卑の問題が濃厚に。
・昔ながらの男尊女卑(女性には学問は必要ない、家事は女の仕事!)
・女性(娘)をお金のために身売り(婚姻)させる
・他所の女性を誘拐して無理やり妻にする
・子供ができないのはすべて女性側のせいにする(実際は男性が原因でも)
・DV
等々、どんよりする案件が次々とでてきます。
自分に都合が悪くなると、平気で女性を殺害したり監禁したりする行為があまりにさらっとなされるので、多少リアル感に欠ける気もしました。
感想など
最初は村人たちの相関関係の把握がなかなかできなくて混乱しましたが、終盤一気に点と点がつながっていくのが爽快でした。
過去の事件と今回の事件のつながり、失踪した恋人の謎に包まれた動きの理由、すべてクソむかつく(言葉遣い失礼~w)案件でつながっていたのでした。
本当に腹のたつ!
そして、その後の村の変化ときたら。これいらなかったんじゃない?って気もするし、あったからこそ救われる気もするし、なんだか取り扱いに困る最終章でした。


なんと、この作品が今年1冊目の中文本でした!
この前に「彼岸之嫁」を読んでいたのですが、どうにも興味が出なくて半分くらいで挫折しちゃった。
次は何を読むかまだ未定です。積読中文本がいっぱい💦