2025年9月1日 (月)

 

 通信制大学を利用して中学校理科一種教員免許状が取得できるのは、明星大学しかない。明星大学の通信課程は、正規であれ科目履修生にせよ入学には入学試験があり、学費も実験科目だけで70万円以上?する。これは、従来中学校理科一種教員免許状を取得するために、「物理学実験(コンピュータ活用を含む)」「化学実験(同)」『生物学実験(同)」「地学実験(同)」の4科目4単位が必須であったからである。一般の教員免許状取得を主目的とする通信制大学では、この4科目の開講は極めて困難であった。スクーリングでしか開講できずに、実験設備も必要であることもあって、中学校理科教員免許状取得のコースの開設は難しかったのだろう。また、履修を希望する側からしても難しい面がある。通学制の理学部・工学部や教育学部の理科専修に実験科目だけの科目履修生を希望しても、実験科目については履修が制限されているところが多い。いずれにしても、社会人が通信制大学を利用して中学校理科一種教員免許状を取得をすることが、ほとんどできなかった。

 しかし、令和5年度に「教育職員免許状施行規則」(省令)が改訂されて、中学校理科一種教員免許状取得のための実験科目は、「物理学実験・化学実験・生物学実験・地学実験」の1科目1単位にまとめられ、必須はこの科目だけになった。実験科目の修得の敷居がずいぶん低くなり、中学校理科一種教員免許状の取得の負担が少なくなった。今後この実験1科目をスクーリングで開講して、他の物理学・化学・生物学・地学教科専門科目を用意する通信制大学が現れるのかも知れない。他の教員免許状を所持していて職員検定を利用する場合の実験以外の教科専門科目は、放送大学でも単位の取得ができる。

 いずれにしても、中学校理科一種教員免許状の取得が容易になったことは事実である。ちなみに理科と違って、数学の中学校と高校の一種教員免許状の取得、情報の高校の一種教員免許状の取得については、多くの通信制大学で取得可能となっている。

 

 一方、学位授与機構への学士(理学)の申請に関しても、中学校理科一種教員免許状の取得とよく似た状況がある。学士(理学)の申請が毎回4月期・10月期合わせても

10人以下であることが、この状況を示している。

 学位(理学)の申請の専攻区分は、➀数学・情報系、➁物理学・地学系、③化学系、④

生物学系、⑤総合理学(注1)の5区分がある。このうち、単位申請の要件として実験・実習科目が要請されるのは、➁が4単位以上、③が6単位以上,④が4単位以上の専攻区分である。したがって,➁③④については、理科の教員免許状の取得以上に申請が難しくなっている。通信制大学での単位取得は、何れも困難である。理学部・工学部に2年以上在学して62単位以上取得した理学部系の学部の中退者、工学部の特定な学科の卒業者ぐらいであろう。➁③④での申請者が極端に少ないのは、こうした理由があるからだと思える。

 それに対して、➀と⑤は、実験・実習科目の単位は要請されない。➀の数学・情報系で申請する場合は、数学・情報の教員免許状が取得できる通信制大学も多くなってきたから、そこで単位修得をすればいい。放送大学でも、情報系については可能であろう。数学については放送大学での数学開講科目だけでは、不足するかも知れない。⑤総合理学の科学史(個別科学史を含む)・科学基礎論・自然科学概論・環境科学・理科教育法などの理学に関する総合的な科目(注2)も、科目によっては6単位を放送大学でも取得可能である。物理・化学・生物学・地学などの専門科目は、放送大学の単位で十分である。こうしてみると、➀⑤は出願の困難さが➁③④に比べて遙かに低いと言えよう(注3)。私は➀の数学の方で申請したが、単位の面で悩むことはなかった。

 

 学位授与機構の学士(理学)については、

   学位授与機構から学士(理学)が授与される(2025年8月26日)

と、そこからリンクされたブログを参照にしていただきたい。

 

(注1)

 総合理学の専攻区分はわかりにくいので、ここに申請要件である単位数をあげておこう。

 

 

 『新しい学士への途』(令和7年度版)より

 

(注2)

 2025年現在の放送大学の開講科目で、⑤総合理学の理学に関する総合的な科目として次が該当するように思える。他にもあるかも知れない。私の推測である。ただし、保障はできない。

 生物環境の科学’25          地球と環境の探求'25            自然科学はじめの一歩'22

    環境を可視化する技術'23    ジオストリーと社会’19  ジェリエンスの科学'24

 数学の歴史’25

 

(注3)

 教員養成系教育学部を卒業した現職の理科教員(主に小中学校教員)や学習塾の講師は、キャリアアップのために学位授与機構に学士(理学)の申請をするとよいと思う。

 もともと教員養成系教育学部理科専修の出身者は、物理学・化学・生物学・地学の単位をある程度修得しているし、実験科目も履修していることであろう。理系科目の履修ができる放送大学で物理学・化学・生物学・地学の不足する分野の単位を修得し、学士(理学)の修得を目指して専攻区分➁~⑤に申請すればいいと思う。⑤の総合理学ならば、理科教育法で成果のレポート(小論文)をまとめることもそれほど困難でないであろう。学士(教育)の他に学士(理学)を修得すれば、教育の専門としてだけでなく理科(理学)の専門家としても以前より高く評価されるかも知れない。