今日は義母のところに介護に行く日でした。出かける準備をしていると、義母の隣の家のSさんから電話があり、ベッドルームのドアが風で閉まってオートロックがかかり、部屋に入れなくなったというのです。何かの拍子に、ドアノブの内側にある突起を押してあったらしく、ドアが閉まると自動的に鍵がかかって外から入れなくなってしまうのです。
よく隣家の電話番号を見つけて電話できたものだと、妙に感心してしまいますが、本人は気が動転している様子が電話からも伝わってきました。隣家のSさんが、至急鍵屋を手配してもいいですかというので、お願いしますと言って、私はすぐに出発しました。
義母宅に到着すると、「大変なことが起こってしまった」とパニックになっている義母に対して、鍵屋が来て開けてくれるのを待てばいいから、とにかく水でも飲んで買ってきたおにぎりでも食べてと言いました。
鍵屋は私が到着した15分後くらいに来てくれて、開けてくれました。出張料も含めて結構な金額を撮られましたが、やむを得ません。その後ヘルパーさんが来て、入浴介助をしてくれました。お風呂に入ってさっぱりすると落ち着いたようで安心したのですが、すでに何が起こったのかをすっかり忘れている模様。もう一度説明すると、へえと言って一応納得したようですが、どうせまたすぐに忘れるでしょう。
こちらは拍子抜けしてしまうわけですが、短期記憶を保持できないというのはこういうことをいうのです。物忘れというような生やさしいものではありません。どんなことでも、必ず複数回説明しないとわかってもらえないので、時々、もう説明するのが嫌になるくらいです。行くたびに同じことを繰り返し聞かされたり、同じ昔話を聞かされたりすると「それはもう説明したでしょ」とか「それはもう聞いてよく知ってるよ」とか言いたくなるわけで、度重なると本当にこちらの脳がぐちゃぐちゃになってしまいます。
それにしてもあれだけ気が動転していたのに、わずか1時間後くらいにはすっかり忘れるなんて。これとは対照的に、先日の一年振りの物忘れ外来受診のことはしっかり覚えているのです。当日もちゃんと忘れずに支度をして待っていてくれました。もちろん、何回も説明して電話もたくさんかけて脳にすり込んではいましたが、去年検査と診察を受けたこともちゃんと覚えています。
自分でも認知症がだんだん進んでいるのではないかと不安があるようで、自分のことで大切なことや気がかりなことはちゃんとわかっています。昔のことはよく覚えているとよく言いますが、それ以外にも「頭がだんだんバカになっている」という意識をはっきりと持っていて、それについて調べてもらうことには何の抵抗もなく、受診拒否などもありませんでした。
そういうことを合わせて考えると、義母は認知症であっても扱いやすい部類に入るのだなと思います。もちろん一時期人が変わったようになってひどいことも言われましたが、全体としてヘルパーの介護サービスを使いつつ、一人暮らしができているのでありがたいことだと思っています。