今週は3回も認知症義母と付き合って疲れ果てました。エネルギーがほとんど残っていません。しかも台風の影響で風雨が強く、昨日もお昼頃ずぶ濡れになって、何かをする気が失せてしまいました。

 

こういう時に、ふた通りの対応の仕方があります。一つは、泳ぐことですが、このところ疲れた時に泳ぎたくないので、もう一つの選択肢として、静かに本を読むことを試しています。

 

写真は刑事コロンボで有名なPeter Falkが書いた本、Just One More Thing: Stories from my Lifeです。2006年に出版されています。

 

私は刑事コロンボを楽しんだ世代なので、この本を知った時、迷わず買いました。刑事コロンボは視聴者には最初から殺人犯がわかっていて、それをコロンボが理屈で追い詰めていくという番組で、それを批判する声もあったのですが、私は(というか多くの視聴者は)そこが面白くて大好きでした。

 

この本は、Peter Falkが自分のこれまでの生涯を振り返ってショートストーリーにまとめたものです。一つ一つのエピソードが短いので、寝る前にちょっと読んでクスッと笑っていい気分になって眠りにつくには最適なのです。Peter Falk自身の言葉を借りれば、次のようになります。

”Stories that supply a chuckle, that are designed for people like me, who pick up a book when they get into bed, read for 12 minutes, and doze off, hopefully with a smile on their lips"

 

これが全てを言い尽くしています。

 

日本語の本で軽い読み物みたいなものを面白いと思った試しはないので、この本は本当に貴重です。

 

人生において大成功を収めた著名人(大富豪や小説家やスポーツ選手など)の成功物語ではなく、若いころに将来自分が何をしたいのかわからないまま、行き当たりばったりに生きてきたものの、巡り合わせで演劇の世界に入り込んで、それが面白くなっていくストーリーは、読んでいて本当に楽しく感じます。人の一生って、このように展開していくんだな、いろんな人との巡り合いもこんな風にして起こるんだな、ということがわかって、それ自体、一つの小説のような展開になっているように思います。

 

やる気の起きない時に読むのに打って付けではないでしょうか。