2000年に介護保険制度ができてから約25年が経ち、それまでなかった様々なサービスが提供されるようになったと言われています。

 

特養などは、なかなか入れないと言われていたのに、最近ではそうでもなくなったと聞きました。老健やサービス付き高齢者住宅、グループホームなど多くのオプションがあります。

 

ある医師によると、2000年にまだ介護保険制度がなかったときには、自宅介護が普通であり、看取りも自宅で家族が行うのが一般的だったのだそうです。家族という場合、認知症患者の配偶者または長男嫁あるいは両者というのが普通だったそうです。家族が最後まで自分を犠牲にして介護を行うというあり方はおかしい、そうではない制度を作るというのが、介護保険制度を貫く考え方なのです。

 

もちろん介護人材が足りているかと言えば、全くそうではないという事情もありますが、少なくとも国民は介護保険制度によってずいぶんと助けられているのです。

 

私も現役の頃は高額の介護保険料を払っていましたが、今、退職して高齢の親の介護に関わる身になってみると、介護保険制度のありがたみや重要性が身に沁みます。特に義理の母親が93歳で認知症、体だけはピンピンしているという良いのか悪いのかわからない状況で、介護保険制度を利用してかなり助かっているのです。これがあるから老老介護の辛さも緩和されているわけです。

 

昨日は早朝4時おきでその93歳を連れて物忘れ外来を1年ぶりに受診しました。一昨日は、93歳が着ていく服や履いていく靴を揃え、病院受診をわかってもらうための説明を何回も繰り返し(というのも何かを聞いてもすぐに忘れるから飲み込ませるのに一苦労なのです)、へとへとになりました。

 

ありがとうと何回言われようとも、嬉しくもなんともありません。できればやりたくないです、こんなこと。やる人が他にいないからやっているに過ぎません。感謝するならヘルパーさん達に感謝してほしい。私はヘルパーさん達に気持ちの上でも助けられています。私の場合、介護といってもそんなに大変な介護ではありませんが、介護保険制度がなかったらどうなっていただろうと考えるだけで、冷や汗が出てきます。

 

退職後はやりたいことをやって考えたいことを考えて人生楽しむ、生き甲斐を持って幸せな高齢者になろう、みたいなことを世間はよく言いますが、長寿社会では自分が退職した後に親の介護がずっしりのしかかってくることを忘れるわけには行きません。