暑いです。とにかく暑いです。この危険な暑さの中、外回りの仕事をなさっている方や、そうでなくても毎日出勤して仕事をなさっている方たちはすごいです。尊敬してしまいます。
私は涼しい部屋でゆっくりと好きなことをやって過ごせる幸せ者です。朝はやく起きる必要もない(とはいえ年寄りだからはやく目が覚めてしまう)、締め切りのある仕事をするわけでもない。自由気ままというのはこういうことを指すのでしょう。締め切りに追われることなく、じっくりと読んだり考えたり書いたりすることは、現役時代には望めなかったことです。手にした自由をどう使いこなすか。これもなかなか大変なのですが、最近ようやく自分なりのやり方を見出して良い気分で生きています。
今日はアマゾンで芥川龍之介全集のKindle版をダウンロードして、iPadで楽しんでいました。芥川は短編小説作家なので、小説の苦手な私にもアプローチしやすいのです。YouTubeでも朗読がいろいろあって、芥川を中心に聴いています。
今日読んでいた中で面白かったのは、「あの頃の自分の事」という作品の一場面です。芝居を見に行った著者が、隣に座った鳥打ち帽の男に目を止め、彼が舞台から決して目を逸らすことなく懐から甘栗を一つ出しては割って口に入れるという動作を繰り返すことを描写しています。「自分はこの視覚と味覚との敏捷な使ひ分けに感心して、しばらくはその男の横顔ばかり眺めていたが、とうとうしまひに彼自身はどちらを真剣にやっている心算だか、尋ひてみたいやうな気がしてきた」というくだりです。この表現、好きだなあ。
芥川の人間の心や行動の描写がとても気に入っています。
そうこうするうちにとても眠くなったので、普段は滅多にない昼寝の時間となりました。それくらい今日の暑さは体にこたえました。昼寝で体力を回復しないと、やっていられないくらいの暑さです。午前中にスーパーに買い物に行くだけでヘトヘトになりながら、読書と昼寝でまあまあ充実した1日となりました。