Adam SavageをYouTubeでフォローしているのですが、この人、本当に面白いです。Star Warsをはじめとして映画の特殊効果を担当している人で、アニメーションの製作やグラフィックデザイナーとしての仕事、ものづくりなどもしているとのことです。

 

とにかく楽しそうに情熱的に語る姿は、まるで子供みたいに純粋で好きですね。

 

最近のYouTubeで地図の話をしていてそれがとても面白かったので紹介したいと思います。

 

車を運転する場合はカーナビ、そうでない時はGoogleマップなどスマホひとつあれば自分が行きたい場所がすぐにわかるのが現代です。

 

でも紙の地図が好きだとSavageさんは言うのです。アメリカを車で横断するときに紙の地図は必携。と言うのも、携帯の電波が届かないところがあるからです。だから必ず道路地図を持っていくと言っていました。

 

そしてThomas Guideというロサンジェルスの地図を見せながら話が進んでいきます。このThomas Guideは1990年代にロサンジェルスの地図としてみんなが持っていたそうですが、ちょうど私がロサンジェルスで2年間暮らしていた時に買った地図帳だったので一目見て懐かしさを通りこして嬉しさのあまり興奮がおさまりませんでした。当時の物価水準で1冊25ドルで、それに見合う分厚い地図帳でした。

 

私はロサンジェルスで運転免許を取得したので、地図帳はとても大事なツールでした。どこかにいくときは必ずThomas Guideを持っていくだけでなく、事前にしっかりと道を頭に入れて出発します。家にいる時もThomas Guideを広げていろんな場所を研究していました。普通の道は碁盤の目なのですが、ちょっと高級な住宅街(Beverly HillsとかBrentwoodなど)になると、道がくねっていてどっちの方向に走っているのかわからなくなってきます。

 

90年代はまだまだGoogleマップの時代ではありませんでした。Sleepless in Seattleという映画の中でMeg Ryanが運転しながら紙の地図と格闘している場面はいまだに記憶に残っています。

 

Savageさんが地図について熱く語る中で、ロンドンのタクシー運転手の話は印象に残りました。ニューヨークもそうですが、ロンドンという街でも渋滞を避けていかにスムーズに客を運ぶかということが運転手の腕の見せ所になってきます。Savageさんは、タクシーの運転手は単に地図で道を覚えるのではない、memorizeではなくinternalizeしなくちゃいけないんだと言います。地図をinternalizeするというのは、例えばあの通りにはどんな店があって人々がどのような生活を送っているところなのか、その感覚を自分の中に取り込んでおくことのようです。

 

方向音痴の私は絶対にタクシー運転手にはなれませんが、この話はとてもよく理解できます。車を運転していた時でもカーナビは絶対に使わなかった私にとって、紙の地図で道順を覚えるだけでなく、目的地までの地理を自分の中にinternalizeすることが運転の大前提でした。行ったことのない場所にいくときは、周辺の地理を理解しつつどんな店があってどんな雰囲気の場所なのかを地図から想像するなんてことをよくやっていました。

 

こうしたことはデジタルマップでもできそうですが、やっぱり違うんですね。90年代初めのロサンジェルスを車で走った記憶が蘇ってきて、なんとも楽しいというか、嬉しいというか、そんな気分に浸っています。