今日は、二十四節気の穀雨です。穀物に実りをもたらす雨が降り注ぐ頃という意味で、長引く雨は菜種梅雨と呼ばれています。本当にその通りのお天気です。

 

各国がインフレ抑制のための金利引き上げに移行している中で、日本は大規模緩和を維持していることから円安が止まるところを知らず、130円まで下がるとも言われています。日銀の黒田総裁も「大きな円安や急速な円安はマイナスが大きくなる」と述べて従来の見解を少し修正しているとの報道がありました。

 

その日銀ですが、今日は西野智彦『日銀漂流ー試練と苦悩の四半世紀』を読んでいました。1996年から1998年までの時代をカバーしている第一章に目を通しました。バブル崩壊後の不良債権を抱え込んだ金融機関をどうやって救済するかという大問題に直面した時代です。橋本内閣のもとで金融ビッグバンが打ち出され、中央銀行の独立性を担保するための日銀法改正が行われると同時に、山一證券の破綻に代表される金融危機に見舞われた時代でした。国内の金融危機にとどまらず、アジア金融危機も起こり、改革を進める橋本内閣は信じられないほどの困難に直面していたことをあらためて確認することができました。

 

橋本内閣では外交・安全保障政策で大きな変化が見られ、特に日米関係は共同宣言やガイドライン改定が行われて前進を遂げましたが、反面で防衛庁の防衛省への昇格は行われませんでした。このような安全保障政策の革新は、国内の政治改革と表裏一体だというのが私の捉え方です。

 

金融ビッグバンは特に注目すべき改革だと思います。銀行・保険・証券の各業法だけでなく外為法や企業会計まで見直す金融制度全般の大改革を目指したからです。フリー、フェア、グローバルが合言葉で、それらは自由な市場、透明で公正な市場、国際的で時代を先取りする市場を意味するのだそうです。このことから、資本主義、市場経済が民主主義と一体であることが感じられます。権威主義体制がいくら経済成長を達成して国力を充実させようとも、フリー、フェア、グローバルではないです。

 

こうした文脈の中で、日銀法を改正して中央銀行としての独立性を高めようとすることは何を意味していたのでしょうか?

 

日銀が改正を必要とする理由として日銀の対処方針が挙げているのは、「今後、経済の市場化や国際化がさらに進展することを考えると、戦時立法で政府統制色が強い現行法では、日本銀行に求められている役割を十分に遂行できなくなる可能性がある」ということでした。そして「民主主義体制を前提に、二十一世紀の中央銀行に相応しい独立性付与が望まれる」としています。政府の日銀コントロールは人事権などに限定されるべきだという考え方のようで、「金融自由化に伴い金融政策がますます市場原理に則って展開されなければならない(=行政的手法を使わない)ことを考慮すれば、最大限の独立性付与が望ましい」と述べられています。

 

このような考え方から見ると、現在の黒田日銀はどのような位置付けになるのでしょうか。楽しみながら読み進めていきたいと思います。

 

金融の重要性を理解するためにも、いろいろ学べる本という印象です。