Patti Smithは超大物のsinger, poet, artist, writerなのですが、私は全く知りませんでした。Bob Dylanに大きな影響を受け、彼がノーベル文学賞を受賞したときのセレモニーで彼のA Hard Rain's A-Gonna Fallを歌いました。
まず、私はBob Dylanくらいは名前だけでも知っていましたが、彼がノーベル賞を受賞したことなど全然知りませんでした。最近は推しがソプラノ歌手なのでクラシックからポップスから様々な歌を聴く機会が増えましたが、もともと歌の世界には疎い人間です。
それで今朝Patti Smithのことを知って、非常に興味深かったのでいろいろ調べていました。Bob Dylanの授賞式でのパフォーマンスについては、彼女が後で振り返って雑誌New Yorkerに"How Does It Feel"というタイトルの文章を寄せています。その記事とパフォーマンスそのものを聴いて非常に感動しました。
A Hard Rain's A-Gonna Fallという歌というか、lyricsはなるほどノーベル平和賞に相応しい内容で、戦争を非常に高次のレベルで描いたものです。日本でいう反戦とはちょっと次元が異なる内容ではないでしょうか。それを歌い始めてしばらくしたところで、Patti Smithが詰まってしまって途中で歌を中止し、新たに歌い直した様子を動画で見ることができます。
Patti SmithはBob Dylanのこの歌だけでなくBob Dylanの世界そのものは体の一部になっているので、途中で行き詰まったのは歌詞を忘れたからでなくsimply unable to draw them outと述べています。感情が溢れかえって言葉を口に出すことができなかったということなのでしょう。その感じが動画を見るとよく伝わってきます。
歌を再開しても、感極まった感じはずっと続いていて観客の中には涙を流している人もいたほどです。
翌朝、受賞者の科学者たちが温かい言葉をかけてくれたそうです。
The Nobel scientists showed appreciation for my very public struggle. "For us your performance seemed a metaphor for our own struggles."
Smithによれば、授賞式でのパフォーマンスの「失敗」は確かに屈辱的ではあるけれども、実は自分が本当の意味でBob Dylanのlyricsの世界に入り込んで体感できたと感じたそうです。
なんとも素晴らしい話だと思いました。そして、歌の世界に疎い私ですが、こういう話を読むと、歌とはlyricsが全てと言って良いくらい、言葉の世界なのだと感じています。どんなにメロディが良くてヒットする歌であってもlyricsが良くないと何の共感も持てませんから。
最後に、Smithを知るきっかけになったのは、彼女の文具好きというInstagramの投稿を見たことです。自分はペンと紙の人間であって、80%はノートにペンで書くそうです。コンピュータの前に座って書く作業はあまりないとのこと。高校生の時は独立宣言を書き写すことに時間を費やし、それがあったから今でもカリグラフィーに秀でているようです。Thomas Jeffersonの文字が非常に美しいことを称賛していました。
今日は以上のようなことを知ることができて、とても幸せな1日となりました。