免疫グロブリン | ~ひろりんの日記~

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新型コロナウイルスに対するPCR検査が追い付いていない中で抗体検査という話を最近よく耳にすると思います。

新型コロナウイルスの遺伝子配列は既に解析済みで、どの部分が新型コロナウイルスに固有なのか分かっています。

PCR検査は患者さんから採取した検体に含まれる遺伝子情報を人工的に増幅して新型コロナウイルスに固有の遺伝子配列と同じ部分があるかどうかを確認する手法です。あれば陽性、無ければ陰性となります。時間は掛かりますけど高精度に判定できるのが特長です。

ところで人はウイルスなどの病原体(抗原)が体内に侵入するとそれらから身を守るために免疫細胞が抗原を攻撃する免疫という仕組みがあります。

免疫グロブリン(抗体)は抗原が体内に侵入することで作られる蛋白で抗原の種類毎に作られます。一度その抗原に対する抗体ができると以降同じ抗原が侵入すると抗体が抗原と結合して排除してくれるんです。この抗体を病原体から毒素を取り除いた物質を接種して人工的に作り出すのがワクチンの目的です。

免疫グロブリンには5種類あってそのうちウイルスに関与しているのはIgMとIgGの2種類です。新型コロナウイルスに感染すると血清(血液)中には先にIgMが現れ次いでIgGが現れます。

抗体検査は新型コロナウイルスに対するIgMとIgGができているかを確認することで新型コロナウイルスに感染しているかどうか判定しようというものです。

けれどIgMにしてもIgGにしても現在の試薬では感染して6日以内では僅か10%の人しか反応が現われません。8日で25%、12日で50%、13日経ってようやく95%です。

つまり現状の抗体検査は感染して12日以内だと感染していてもしていないと判定されてしまう可能性が高いんです。ただ13日以上経過していれば大多数の方に出現するので高精度に判定できるようになると思います。

PCRは感染初期でも高精度に判定できますけど検査は大変で時間も掛かります。一方抗体検査は少量の採血で検査できるので簡単で時間は掛かりません。ただ感染初期の判定精度に問題があるんです。

なので現時点で抗体検査を新型コロナウイルスに感染したかどうかの「診断」に用いるのは未だ危険だと思います。それぞれのメリット、デメリットを十分理解してそれぞれに適した利用をして欲しいなと思います。

写真:©家庭の医学

2020/4/26記事作成