図書館で日本語本セクションのほかによく利用する、コミック本セクション。ここには日本のコミックの英訳版も多数あるのだ。手塚治虫のようなクラシック作品から、最近の人気作品までそろっていて、利用価値がとても高い。
最近読んでいるのは
「きのう何食べた?」
1巻目だけがバイリンガル版で日本語本の蔵書にあって、面白かったので続きを英語版で読むことにしたのだ。
日本でドラマ・映画化されて好評だというこのコミック、主人公ふたりのストーリーを追うのもよいが、わたしは料理のシーンが特に好き。食材の切り方とか、火の通し方とか、調理方法とかを、英語ではそういうのか、と知ることができるのも英語版のよいところ。何巻も出ているから、続けて読めばそのうち覚えるだろうと、特に覚える努力はしない。
コミックは会話中心だから基本的には辞書を引くことなくスイスイと読めるのだが、4巻目に謎の言葉が。
シロさんが母親に電話で、天ぷらをおいしくつくるコツを聞いたときに母が返したセリフが一言:
「Derring-do!」
初めて見たぞ、こんな英語。
前後の説明からいくと、「Derring-do」は、天ぷらをおいしく揚げるコツであるとともに、シロさんの人生には何よりも欠けていて、母には何よりも備わっているものらしい。
それでもなんのことやらわからない。スマホに入れている辞書アプリには収録されておらず、うーむ。
そうだ、わたしのブログを美しい英文に仕立てられる、Google Translateさまに聞いてみよう!
すると、Google Translateが出してきた日本語訳は、
「デリング・ドゥ」
そのまんまやんけ~!
とつっこみを入れ、気を取り直して検索エンジンでキーワード検索する。ようやく、
daring to doの変形
大胆不敵・大胆な行為・勇敢な行為
という意味だとわかった。
天ぷらを美味しそうに揚げるコツは、大胆になれ!ということだな。食材に衣をさっくりまぶして油の中にガバーッと投入するのかな?とイメージ。
そこで終わればよいのだが、今度は、オリジナル版で実際に母はなんと言っているのだろうか、と気になってしまう。バイリンガル版で読んだ母の口調を思い出しながら逆翻訳を試みるがーー
大胆に揚げる!
大胆になること!
Derring-doの日本語訳に惑わされ、翻訳調だ。セリフとしてありえなさそう。ではこうか。
大ざっぱに適当に!
意味がずれているような......
なんだろう、と考えながら数日がたち、思い立って検索したら、回答を載せている個人のブログが見つかった。
母「思いきりよ!」
なーるほど。日本語の会話でありそうだ、と合点がいきました。
ちなみに「思いきりよ!」をGoogle Translateにかけてみると、”Make up your mind!" でこのシチュエーションには合わない。原文の一言に合わせて同じ意味の一語の英語をぴったり当てはめてくる人間の翻訳者はやはりプロフェッショナル!
♪わたしもほしい、翻訳のセンス♪