須藤古都離さんの『ゴリラ裁判の日』を読み終えました。
初めましての作家さんです。
タイトルと内容紹介に惹かれて読んだのですが…。なんだかすごく考えさせられるお話でした。
前半は、『アルジャーノンに花束を』を読んでいるときにも感じた、知恵や言葉、そういったものは必要なんだろうかということ。
読んでいる間、ずっとそのことが頭から離れませんでした。
主人公のローズは母親と人間から手話を習い、意思疎通ができる特別なゴリラです。ローズは、言葉を話せることを誇りに思っています。ただ、ゴリラでもない、人間でもない生き物になってしまいました。(ローズ談)
無垢で明るく前向きなローズ。
基本的に人間が好きなローズ。
そんなローズに、人間はなにを返せたのか。
そもそもなぜ、ローズとローズの母に言葉を教えたんでしょう。
……、探究心といえば聞こえはいいけれど、人間の欲ですよね。そうすることで、ローズに(ゴリラに)どんな影響が出るのかは考えていない。なんか、そこもとてもイヤでした。
私は、この物語りで人間の傲慢さや身勝手さばかりが目についてしまって、読むのが正直少ししんどかったです。しんどかったけど、「読まなきゃよかった」とは、思いませんでした。
とても、興味深くおもしろい1冊だと思います。