アメリカの時計 観劇 | てんてんてん

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矢崎広さんが大好きです。
Twitter @shuri_nn

KAAT神奈川芸術劇場でアメリカの時計を観劇しました





席にはパンフレットが置いてあるという太っ腹。キャストや作品についてだけでなく用語集も載っていてとても参考になりました


物販はというと休憩中と終演後に大地のみ販売


大地とは…土です。観劇日の日付が入ってるので観劇の記念になりました


大スタジオの中に入ると…


1列目は舞台と続いていて2段目から段差がありました。1度1列目で見ましたが役者さん達から全身見えると思うと(見ていらっしゃらないのは重々承知してますが)緊張して身動き取れず…



舞台に土が敷き詰められ上には映像がうつしだされています。ピアノと水道(実際に水が流れます)が舞台上にあり、奥には椅子が無造作に並べられ棚には服や小道具が置かれていました

開幕の時に上がった写真を見てどんなセットか知っていましたが、やはり生は格別。劇場に入った途端一気にアメリカの時計の世界に連れて行かれました



お芝居が始まる前に役者さん達が入ってきて椅子に座ります。矢崎さんはじっと客席を見つめて座っていて、最前列の時矢崎さんの真正面の席だったのでしばらく2人で見つめあっていました♡ ←黙れ

矢崎さん演じるリーが立ち上がり『アメリカの時計、アーサー・ミラー』と言ってからお芝居が始まります

役者さんは途中退場する時間もありますがほとんど奥の椅子に座り舞台を見つめています。リーだけは一度も退場せずずっと奥にいたのでスイカの準備をしたり飲み物を飲んだりというなかなかレアなお姿が見れました


2幕が始まる前にシルビアさん以外は椅子に座り、シルビアさん演じるローズが入って来てお芝居が始まります。この時は矢崎さんは中村さんと何か話されてました。親子での微笑ましいお姿でした



アメリカの時計の戯曲が悲劇喜劇に掲載されていたので観劇前に読みました。経済や世界史に疎いのもあり話の大筋はわかるものの本を読んだだけではわからない事も多く、登場人物が多いので人の名前が覚えられず…観劇してわかるのか少し不安になりました

が、矢崎さんがRADIOKAATで僕らが全力で体で表現していくので心配はなさらず…とおっしゃっていたのを聞き矢崎さんの伝える力の強さは折り紙つきなので安心して観劇に臨みました。おっしゃった通り、読んだ時には難しく感じましたがとてもわかりやすくなっていて、1人何役も演じていましたが混乱する事なく見る事ができました


裕福な人達もそうでない人も一夜にして何もかも無くしてしまう。なかなか価値観を変えられない人、死を選ぶ人、どんどん沈んでいく人達

息子に小銭をもらう父、リーを大学に通わせる事ができず心を痛める母。もう切なくて切なくて…

その中で両親から愛情をたっぷり受けて育ったのがわかる真っ直ぐ立ちしなやかな強さを持つリーが物語の光でもありました


ストーリーテラーはリーとロバートソンの2人が担っていました。戯曲ではストーリーテラーの役割をする時は白髪のカツラをかぶったりして大恐慌後の年齢になってましたが、実際のお芝居ではカツラは無く分かりやすく年齢を重ねてはいませんでしたがさすがお芝居の上手い矢崎さんと河内さん、場面によって違う年齢を演じ分けていました

ロバートソンは時流を読み大恐慌でも稼いだ者として俯瞰的な視点、リーは大恐慌真っ只中を生き抜いた当事者としての視点、2つの視点があってわかりやすくなっていましたし、観客もその時代に生きる人として体感できたように思います


戯曲とは違うところが多々ありましたが1番最後のロバートソンの台詞に『どうぞ、皆さんお続けください』が足されていて、100年前の人達から今の時代に生きる私達にどんな世の中に生きているのかと突きつけられたようで…

お芝居が始まる前に椅子に座りじっと客席を見ていた役者さん達。あれは100年前の人達が今の時代の私達を見つめていたようで…

100年経って文明は進みましたがやっている事は変わらない、私達が変えられる事はたくさんあるのに。

見終わった後もいろいろな事を考えさせられる作品でした


いろいろな世代の上手い役者さんが揃いとても見応えのある作品でした。休憩挟んで約3時間があっという間で、演劇を見た!という満足感でいっぱい

この錚々たるキャストの中矢崎さんが真ん中に立っていてとても嬉しかったです