How are you?

と聞かれたら、

I`m fine.

と50年以上前に英会話教室で習った。

しかし、世界は広い。ラスベガスで

How are you,Mr///?

と声をかけられるようになると、かなり危険な状況であるらしい。

つまり鴨のギャンブラーでスウィートルームの常連ということだ。

 

即ち会話の本質は教室で理解するのではなく、ラスベガスでの体験がものを言うのである。

著者は I`m fine. の本当の使い方をラスベガスのウェイトレスへの一言で理解するのであった。

 

本を読む楽しみは、「新たな発見」に尽きる。

腹を抱えて笑うことはテレビではなくなった。

新聞は腹の立つことばかりである。

そんな時、クーラーのきいた一室で、静かにページをめくり

<空飛ぶレタス>を読んで、ぎっくり腰も忘れ腹を抱えて笑った。

明治30年生まれの爺さんの捨て台詞に懐かしさと共感と失われた日本を見出したからであった。

その場面を要約すると

初めてレタスを食卓の出された爺さんはちゃぶ台をひっくり返して

「ヤロウ、いかにくすぶったって人間うさぎじゃねえんだ」と捨て台詞を吐いて

外に出たのである。

 

日本にはけっして、軽々しく「I`m fine.」などと言わない男が

昭和の三十年代までいたのであった。

明治は昨日のようだが、昭和は遠くなった。