今月の読書会のテキストは「海と毒薬」遠藤周作。
今まで、遠藤の作品を読んできたが、どうもいまいちわからない。
もう一歩踏み込んで、夫・遠藤周作を語るを読んだ。
既に、考えすぎ人間へと母なるものを読んで
そういうことだったかと気づいたことはあったが、
四十年共に暮らした人の回想記を読むと、単なる想像ではなく、
実感として理解できた。
勿論、人一人を完全に理解するなど不可能なことだが、
彼の心に何があって、何故書かねばならなかったのかということはわかってきた。
文学作品に正解などないこと承知で言えば、
<父が母と息子を棄てたこと。母が心のよりどころしていたバイオリンとキリスト教が
文学作品への原動力になっていた>
ということだろう。
篠崎一士の解説のように、<人体実験をする医師の罪の問題>というのが
海と毒薬には適切なのだが、他の作品も含めて、一貫しているのは、
母なるものーへの信頼と感謝と敬愛と・・・・ということではないだろうか?
同じ病である結核を患っていた盟友吉行淳之介は「春夏秋冬女は恐い」という作品を
残しているが、吉行の母もゴッドマザーであった。
結核以外にも母なるものの影響は大きかった。
津島美智子の「回想の太宰治」では母が子を見守るように作家が描かれている。
太宰の母の記憶は薄いが、たけさんとの再会は津軽に見事に描かれている。
吉行ならずとも女は恐いなあ!
アベ・マリア!!!ブラジルではOh my Godらしい。