今月の読書会は

遠藤周作「海と毒薬」

 

捕虜を人体実験で殺した日本人医師たちの物語です。

勝呂医師は「ことわってもいい」と言われたのだが、

手術を断らなかった。

自己主張しなかったが、自己責任も問われなかった。

日本人に多いタイプだ。

池波正太郎の小説にもこんな人物が出てくる。

作品の中で心に刺さった一行は

「人間の良心など考えよう一つでどうにでも変わるもんや」という

ところ。

ドストエフスキーの罪と罰も、最近の障碍者殺人も、この一言に尽きる。

 

海は人を生かす手術室、毒薬や人を殺す実験の暗喩だが作者の関心がどこにあるのか

掴めなかった。

母なるもの、と考えすぎ人間への二冊をを読んで、なるほどと腑に落ちた。

隠れキリシタンと自分を重ねる。

日本人は父なる神ではなく、母なる神を信仰していたのだ。

母なるものー父が捨てた女ーとの人生を考える作品。

 

アイツにはないが、オレにはある。

正義の裏に潜む人間の本性。

これですね!