【かすかな灯りでも灯りは灯り。灯りに向かっていけば間違いないよ】
大正時代は労働運動が盛んになり、社会主義や共産主義の思想が誕生しました。平塚雷鳥や市川房枝などの女性運動も活発化して、これまでの価値観と異なる思想が蔓延します。

明治時代が西洋化の時代であれば、大正時代は大衆化の時代と言えるしょう。日本人の心としての武士道や精神は、むしろ大正時代に喪われたと謂えます。

日本の心を、精神を教えようとしても、時代はこの教えと矛盾する事ばかりです。それが子供たちにどれ程の影響を与えるのか、人知れず悩みました。

しかし、親を敬う事、他人様への思いやりを忘れぬ事、二心なき誠実な人間である事は、どんなに時代が変わっても間違った事ではない。

世に正しきは常しえの教えである、と思い出しました。

「一燈を掲げて暗夜を行く。暗夜を憂うること勿れ。只一燈を頼め」

江戸時代の儒者、佐藤一斎の教えです。

「風前の灯のように頼りなくとも、どんなにかすかな灯りであっても、灯りであることに変わりはありません。どんな時でも灯りに向かっていけば間違いない」

世の風潮と己の考えが違う事は今でもあります。しかし、そんな時こそ基本に立ち戻り、いつの世でも正しいとされる道徳を灯りとして生きたいものです。

以上「女子の武士道」石川真理子著より

続いて「頂門の一針 6968号」より転載します。

【主張を否定も支離滅裂】

【八木秀次「突破する日本」】「台湾有事は日本有事」の戦略的発想が理解できない石破氏 主張を否定も支離滅裂、安倍元首相へのルサンチマン(恨み)か 

 「台湾有事は日本有事」と安倍晋三元首相が主張していたのは、単に日本が中国の台湾侵攻に巻き込まれるということではなかった。台湾は民主主義国家の普遍的価値観を共有する事実上の国家であり、その主権を踏みにじることは民主主義国家の普遍的価値の否定に等しい。

 台湾有事は権威主義国家に対峙(たいじ)すべく「民主主義国家の普遍的価値の普及」を主唱し、結束を呼び掛けている日本の問題でもあり、ともに中国の軍事的脅威をはね付けようということだ。大きな世界戦略の中で、台湾の存在を守ろうという趣旨だ。

 この辺りの戦略的発想が理解できない人がいる。自民党総裁選出馬への意欲を示す石破茂元幹事長は典型だ。

 石破氏の近著『保守政治家 わが政策、わが天命』(倉重篤郎編、講談社)はインタビューをまとめたものだが、安倍晋三元首相へのルサンチマン(恨み)か、全体として安倍氏の政策をことごとく否定している。

 「保守とはリベラルのことである」と題する章もあるが、カラスを鷺(サギ)と言いくるめる論法だ。同性婚法制化を主張し、メディアでは女系天皇容認や夫婦別姓導入の主張を繰り返している。

 「中国の軍事的圧力が強まっていることをもって、台湾有事が高まっている、という説があります。そして『台湾有事は日本有事である』と、ことさらに取り上げられることもあります」─。

 「ことさらに」とは、「わざと」「故意に」との意味だ。悪意がうかがえる。

 そのうえで、「仮に中国が台湾に軍事的な攻撃をする状況になったとします。その際に、文字通り日本本土も同時に攻撃する、という状況は、冷静に考えればほぼありえないでしょう」「仮に中国が台湾を攻撃したとしても、そこで日本まで攻撃してしまえば、直ちに日米同盟を敵に回すことになります」「つまり、文字通り『台湾有事、即日本有事』となる可能性は相当低いということです」と、明示はないが安倍氏の主張を否定する。

 「台湾有事は日本有事」を否定しながら、結局は日本有事となるという。支離滅裂だが、安倍氏を否定したいだけではないか。普遍的価値への言及もない。戦略的発想の欠如を露呈した格好だ。

 岸田文雄首相は14日、来月の自民党総裁選への不出馬を表明した。この内外の難局に、石破氏ではおぼつかないことだけは確かなようだ。 =おわり

■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院政治学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専攻は憲法学。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学教授。山本七平賞選考委員など。安倍・菅内閣で首相諮問機関・教育再生実行会議の有識者委員を務めた。法務省・法制審議会民法(相続関係)部会委員、フジテレビジョン番組審議委員も歴任。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)など多数。

著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)、『公教育再生』(PHP研究所)、『明治憲法の思想』(PHP新書)など多数。

☆☆☆☆☆☆☆☆ 松本市 久保田 康文  夕刊フジ令和6年8月19日号採録