【バイデン無残、民主党はパニック。メディアも一斉に「立候補辞退」】
  大統領討論会。極左のCNNが調査しても、トランプの圧勝を示した
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 以下はバイデン贔屓のニューヨークタイムズの記事(6月28日)である。

 「バイデン氏の最も近いメディア関係者が討論会後に次々と離反──MSNBCの司会者ジョー・スカーボロー、CNN寄稿者ヴァン・ジョーンズ、そして大統領を長らく支持してきた他の評論家たちは現在、大統領に撤退を促している」。

 予備選を通じて正式に決まった党候補を土壇場へきて降ろそうと、巷の声ならともかくオピニオンリーダーたちが言い出したのだから、深刻な事態である。

 民主党選対本部はパニックに陥ったと多くが報じているが、ホワイトハウスは「単に風邪をひいているだけだ」とした。すでに筆者は『トランプ劇場2・0 世界は大激変』(ビジネス社)のなかで、バイデンの不出馬宣言はいつかと予測しているが、その関連で代替候補のひとりとしてニューサム加州知事をあげておいた。

 ワシントンポストは早々と、バイデン交替へ四つのシナリオを提示し、またウォールストリートジャーナルとワシントンタイムズは交替最有力の候補者はギャビン・ニューサム・カリフォルニア州知事で、しかもニューサムは出馬準備に入ったと報じている。

 アメリカの各メディアの予測を総合すると、代替有力候補として数人の名前があがっている。

●カマラ・ハリス副大統領現副大統領。秩序から言えば当然の選択だ。上院議員の経験があるものの2020年の予備選で支持を集められず、実現可能性は疑問だ。
● 運輸長官ピート・ブティジェッジは嘗てインディアナ州サウスベンド市の市長を務めた。知名度があり、コミュニケーションスタイルと閣僚としての経験から有力な候補者のひとりとなっている。
●カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサムは同性婚を認めるなどLGBTQの先駆者、あまりに極左路線を突っ走るので、カリフォルニア州で高い人気があっても全米では反発が強いだろう。バイデン撤退の場合、有力な候補者となる可能性がある。
●ミシガン州知事グレッチェン・ホイットマーは、武漢肺炎猖獗時にリーダーシップを示した。激戦州での人気も高く、立候補の可能性を高めている。
●エリザベス・ウォーレン上院議員はマサチューセッツ州という左翼地盤から選出されて奇妙な政策提言、とくに経済政策へのあまりに進歩的な姿勢と消費者保護の強力な支持で知られる。

焦点は八月の民主党大会で、この日までにバイデン不出馬となれば、党大会で候補者がならび決選投票が行われるというシナリオの可能性が高い。

以上「宮崎正弘の国際情勢解題」より

続いて「頂門の一針 6913号」より転載します。

【中国製EVの関税引き上げ問題】

【高橋洋一 「日本の解き方」】中国製EVの関税引き上げ問題 環境政策の観点では不合理だが…過剰生産による輸出看過できず 深刻な機能していないWTO 

 中国製の電気自動車(EV)や太陽光パネルについて米国が関税を引き上げる方針を打ち出している。これらが環境対策の面や産業の面で日本にとってどこまで合理的なのか。

 実際、この関税引き上げは「1974年通商法301条」に基づくもので、表向き中国の過剰生産という不公正な慣行による経済の混乱を防ぎたいという経済安全保障の意向であり、反中国政策によるものではないとしている

 ただし、環境保護の観点では、できるだけ低コストのEVや太陽光パネルを使うことに反するので、米国がそれらの関税を引き上げるのは合理的ではない。ジョー・バイデン政権としては、環境保護の看板を下ろさずに自国産業で環境政策を進めるために関税引き上げというロジックだろう。

 大統領選では、環境政策を気にしないドナルド・トランプ前大統領は、対中政策と米国第一主義から躊躇(ちゅうちょ)なく関税引き上げを主張するので、バイデン氏としてはその対抗策という意味合いが強い。

 もっとも、産業面からみれば、中国の過剰生産による輸出は看過できない。中国は他国を犠牲にして自国の成長を促進するため、ダンピング輸出をしている。その証拠に生産能力が過剰になっているにもかかわらず投資を続け、不公正な慣行で低価格に抑えた輸出品を世界の市場に氾濫させているというわけだ。この観点からは、中国からの特定製品について関税を引き上げるのは合理的となる。

 関税引き上げについて、環境政策の観点と産業政策の観点では答えが真逆になる。一方、貿易論からみれば、自由貿易が望ましいので、関税はできるだけ低い方がいい。戦後はこの考え方が有力であったが、現在自由貿易体制の前提である世界貿易機関(WTO)が実質的に機能していない。最も深刻なのは紛争処理制度がほぼ機能していないことだ。

 WTOには、紛争が2国間交渉で折り合えない場合、WTOルールの下で解決する裁判のような制度がある。2審制で、まず1審の紛争処理小委員会が審理し、その判断が不服なら最終審の上級委員会に上訴できる。

 しかし、米国が上級委の委員選任を拒否しているため、上級委の審理は19年12月から止まったままだ。その理由は、中国の不公正な貿易慣行についてWTOが適切に対処できていないことだ。

 こうした現状を考えると、関税の引き上げは米国のみならず、欧州連合(EU)など他のところでも不可避だ。日本だけが、自由貿易の理念にこだわると、環境保護や貿易面ではいざ知らず、産業政策や経済安全保障の観点から、大きく国益を損なってしまう。

 今や日本だけが自由貿易の理念を叫んだところで、世界に与える影響は皆無なので、リアリストとして振る舞うべきだ。

 しばしばブロック経済化が第二次世界大戦の「原因」といわれるが、実は「結果」である。安全保障上の緊張を原因として、ブロック経済化も世界大戦も招いたというのが真相だろう(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

☆☆☆☆☆☆☆   松本市 久保田 康文 夕刊フジ令和6年6月26日号採録