【官僚と勲章の権威は守られた】

昭和24年8月、青森県弘前で大学教授夫人(30歳)が自宅で殺された。警察は近くに住む青年、那須隆を(別件)逮捕した。青年は犯行を否認したが、弘前大学長が検察の謂われる儘に「変態性欲者」の鑑定を出して起訴した。一審では無罪。

然し、検察は青年のシャツ襟に付いた小さな灰色のシミを、東大法学部教授・古畑種基に鑑定依頼した。結果は「98.5%の確率で被害者の血液」とされたが、鑑定書のシミはいつの間にか大きな赤褐色の血痕に代わっていた。

控訴審はこの古畑鑑定を決め手に青年を有罪とし、懲役15年を宣告。最高裁も上告を棄却し刑が確定した。那須は「罪を悔いる」と一札を書かされて昭和38年に仮釈放された。

その8年後に真犯人が名乗り出た。

前にミシン修理に行った教授宅に泥棒に入り、夫人の寝姿に劣情し圧し掛かったら目を覚まされ、とっさにナイフで殺したのが真相である。

那須は再審を求めた。真犯人しか知り得ない証拠や、那須のアリバイを立証する証言もあった。然し「完全に真犯人の証拠が不十分」で却下される。

何故か?真犯人と認定すれば那須を有罪とした古畑鑑定がいい加減であったと認める事になる。彼は、科警研の所長を務め、何より文化勲章を受章している。偉大な権威を傷つけたくないという関係官僚の想いである。

那須は二年後に再度再審を求め、あっさりと再審が認めれら、今度は彼の無罪が認められた。

あっさりの理由は、その前年に古畑が死亡したからだ。官僚と勲章の権威は守られたと法務官僚も判断したのだ。

大江健三郎が「日本軍守備隊長が住民に集団自決を命じた」と「沖縄ノート」に書いた。

そんな命令は出していないと当の隊長が発言し、その場に居た住民も自決は止めろと逆に隊長から諭され、集まった住民はそれで散会したと証言する。

自決命令だ出たことにしたのは、それで住民に遺族年金が支給されるためであった。隊長が己の名誉を犠牲にした好意的な嘘であったことも解ってきた。

対する大江は取材を一切行っていない。聞きかじった「好意的な嘘」を逆手に取り、日本軍は悪いとする時流に乗った嘘話を仕立てた悪意が浮かび上がる。

文学者以前に人間性を疑われる悪行を、このノーベル賞作家はやった。

こんなに明確な大江の名誉棄損訴訟は、それでも1審でも控訴審でも隊長側が敗訴した。理由が酷い。大江が捏造した話は「当時流行っていたから悪気はない」。

隊長の諫めを聞いた住民証言も「信用するに値しない」で切り捨てる。文化勲章がノーベル賞に代わっただけで、那須の一次再審の判決と同じ展開だ。

大江が鬼籍に入るまで待てと謂うのか。

「日本警世」高山正之著より

続いて「頂門の一針 6904号」より転載します。

【精神も肉体も疲れ果てた】    奥原 慎平

韓国人客のマナーに悩む対馬神社禰宜「大半が日本文化を軽蔑」

長崎県対馬市の神社で韓国人観光客のタバコの吸い殻のポイ捨てなど迷惑行為が相次いでいる問題で、和多都美(わたづみ)神社禰宜(ねぎ)の平山雄一氏が産経新聞の取材に応じた。同神社も韓国人客に悩まされ、今年2月に立ち入りを禁止する看板を境内に掲示した。

神社はX(旧ツイッター)の広報用アカウントで神社や島の自然を紹介していたが、韓国人客にマナー違反を注意した際、「チョッパリ(日本人への蔑称)」「ケセッキ(犬の子)」と言い放たれた様子などを動画で伝えている。

「一部ではない」
──Xで韓国人の子供や大人が神社の磯良恵比須(いそらえびす)に投石する様子が公開されている。磯良恵比須とは

「磯良恵比須は社家(神職家)の祖先である阿曇磯良(=海の神、祭神)のご神体石だ。彼らの行動は祖先を侮辱し、傷つける行為だ。日本の伝統文化を蔑(さげす)み、自らの感覚でのみ他国の大切な文化を捉える姿勢は、甚だ遺憾であり、憤り、怒り、さまざまな思いが込み上げてくる」

──迷惑行為が問題視される韓国人観光客は「大半」ではなく「一部」なのか

「一部ではない。少なくとも神社ではそれが逆転している。一部の良い韓国人はいるが、大半が日本文化を軽蔑し、リスペクトもなく、神社をテーマパークのアトラクションとしてのみ楽しんでいるというのが長年の経験でわかる」

「われわれは1人や2人に接してきたわけではない。何十万人もの韓国人がここを訪れ、不敬を働くわけだ。神職としては、精神も肉体も疲れ果てた」

対馬の100年後を考えて
──日本人に差別的な言葉を投げかける韓国人旅行者の立ち入りを禁じると、逆に差別だと批判が寄せられる

「無関心が招くインバウンド(訪日客)の観光公害(オーバーツーリズム)を直視せず、現状肯定することは、国益をも失う結果となりかねない。自らのこととして受け止めることが必要ではないか」

──対馬を韓国領土だと主張する韓国人が対馬で返還を議論するセミナーも開いている

「(韓国に不法占拠された)竹島(島根県隠岐の島町)は奪われた。もう取り返しのつかない段階だろう。対馬の100年後、1000年後を見据えた、現状を考えてほしいと切に願う」

「われわれは目先のことだけにとらわれ、未来の日本人をないがしろにしているのではないか。われわれがもう存在しない時代のことはどうでもいいと考えるならば、日本のために戦ったご英霊は哀しまれる。いま日本の未来のために、行動を起こさなければならないと思う」

──神社での韓国人旅行客の迷惑行為は今月、日本や韓国で相次いで報じられた

「関心を寄せてもらう入口ができたという点ではよかったと思う。ただ、報道は時に歪曲(わいきょく)し、日本という国の一員でありながらも、自らそれを攻撃する。まるで自己免疫疾患(体を細菌などから守る免疫機構が矛先を変えて自分に向かう病気)にかかっているかのようだ」

国境最前線の島を体感して
──対馬で起きた韓国人旅行者のマナー違反に対する立ち入り禁止措置について、一部のマスコミは東京で受け止め方を尋ねた

「愚問、愚行であると強く感じるし、憤りしかない」

──報じられたことで、神社に寄せられた反応はどうだったか

「応援のお言葉が大半だった。それこそご批判は一部だった」

──対馬に日本人旅行者が訪れる意義について

「新型コロナウイルス禍を経験し耐え抜いているから、韓国人インバウンドに頼っているのは一部の方々であるようにも感じる。ただ、韓国人観光で飲食店やホテルは確かに助かっているというのも事実だ」

「日本人が無関心をやめ、100年後、1000年後の日本を想い描き、対馬という国境離島に目を向けてもらえれば、観光公害対策や国防にもつながる。ぜひ多くの日本人の皆さまに足を運んで頂き、現地で、国境の最前線、神々の島を体感してほしいと思う」(聞き手 奥原慎平)